Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Joe Hall And The Continental Drift

2008-08-16 | SSW
■Joe Hall And The Continental Draft / On The Avenue■

  北京オリンピックも佳境に入ってきています。 残念ながら開会式を見ることができなかったので、口パク少女や CG 花火といったタイムリーな話題についていけません。 しかし、土曜日の夜ともなると生中継が多く、3 チャンネル同時に見られる機能が欲しくなります。 我が家のテレビは2チャンネルまでなので、こまめに操作したりしています。
  とはいえ、ブログの更新ができるのも週末くらいなので、思い切ってレコードを聴きながら、オリンピックをテレビ観戦するという暴挙に挑んでいます。

  そんな時に聴くのがこのレコードでいいのだろうかと思うのが、カナダのロック・ミュージシャン Joe Hall のセカンドアルバムです。 時代は 1978 年でもあり、前回紹介した Chuck McDermott とテイストが似ているという理由でピックアップしました。 Joe Hall 関連のレコードはこの 1 枚しか聴いたことがありませんが、このアルバムはひと言で言うとごった煮のようなレコードです。 それは支離滅裂ということではなく、豊富なアイディア、バラエティ豊かな曲調、わざと B 級っぽく見せる余裕など、ふところ深い大人のロックという印象です。 1990 年代に They Might Be Giants という風変わりなバンドがいましたが、彼らのからエキセントリックさを除去して、パブロックで味つけしたいみたいな感じがします。 ボーカルの声質はややしゃがれているので、誤解を生む表現かもしれませんが。

  このアルバムを引き立てているのは、1978 年にしてすでにパンクを茶化している「Punk Lunch」や Talking Heads のようなワールドミュージック感あふれる「Nos Hablos Telephone」といった曲です。 アイディアが光る曲としては、中盤で男の会話だけになってしまう「Johnny Nada」、Camper Van Beethoven の曲のような創意工夫が伝わってくる「State Of Interruption」があげられます。 このような楽曲をさりげなく演奏してしまう力量とアルバムのなかで浮かないようにまとめるアレンジのセンスには感心させられます。 しっとりとしたバラード「Moment To Moment」や「Say It Isn’t So」もうまい位置にはめ込まれており、曲の多さも気にならないかなりの高水準のアルバムとなっています。 道路の向こう側に Joe Hall の顔があるジャケットはかなり妙な気分ですが、このイラストは画家でもありミュージシャンでもある Mendelson Joe によるものです。 このミュージシャンも変わり者ですので、いつしか取り上げてみたいと思っています。 

  さて、こうしてオリンピックの画面を消音にしてこのアルバムを聴いてみましたが、ホッケー女子は終盤間際に得点されてイギリスに負けるし、野球では韓国が 9 回表に得点して日本が負けてしまうなど、まったくいいことがありませんでした。 やはり中途半端はいけませんね。 
  と思ったら、100m 決勝でジャマイカのボルトが 9 秒 69で優勝。 最後は流しての世界新記録でした。 ものすごいものを見てしまいました。



■Joe Hall And The Continental Draft / On The Avenue■

Side-1
A Little Taste
Moment To Moment
Here Comes the Third World
Punk Lunch
Sitting In The Bell Tower
Nos Hablos Telephone

Side-2
Keep Me Occupied
Johnny Nada
More Cold Drinks
State Of Interruption
Say It Isn’t So
Next To Nothing

Produced by Tony Quarrington
Executive Producer : Harvey Glatt
Recorded at Grant Ave. Studios, Hamilton , April-October 1978
Front Cover and Concept : Mendelson Joe

The Drift
Joe Hall : lead vocals , acoustic & Electric rhythm guitar, percussion, harmonica, harmony, noise, exploding bomb
Tony Quarrington : lead electric, acoustic &12-strings guitar, organ, percussion , dobro, moog synthesizer, phony steel drum
George Dobo : piano, organ, rhythm guitar, harmony, bell, recorder
Paul Quarrington : electric bass, harmony, percussion, door knob
Martin Worthy : drums, percussion, harmony, congas, tinbalis, gonad

Guest Artists
Steve Hutt : alto, tenor and baritone saxophone
Peter Stryniak : violin
Art Jansen : viola
Joel Quarrington : double bass

Posterity Records PTR 13009