Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Bob Sanders

2006-04-17 | SSW
■Bob Sanders / Scraps And Napkins■

 Sweet Fortune Records の2枚目のアルバムをご紹介します。
 このBob Sanders という無名のミュージシャンの唯一のアルバムは、Sweet Fortune Records のなかでも最も見かけないアルバムです。 淡いソフトタッチのジャケットは、構図が Parker McGee のアルバムに似ているのですが、ともにアルバム1枚で終わってしまうところまで似ていますね。
 早速、アルバムの内容に触れて見ましょう。 A面は「Mountains In The Morning」で始まりますが、この曲は軽いカントリーテイストにBob の甘めのボーカルが絡み、ストリングスやバンジョーが優しく包みあげた佳作です。 ちょっと、Steve Eaton のファーストが持っている雰囲気に近いものを感じます。 「The Road」は、30日中26日もライブでツアーに出ているという Bob がツアー先のホテルのBARで思いつき、そのBARのナプキンに書き降ろしたという曲。 「Scraps And Napkins」というアルバムタイトルの所以にもなっているエピソードですね。 しかし、アルバムで聴くことのできる彼の音楽は、ギターの弾き語りはほとんどないので、それほど毎日のようにライブをしているようには感じませんが。 続く、「Ordinary People」はアルバムの代表曲と言えるでしょう。 普通に生活している人が僕にとってのヒーローだ、と歌うこの曲は Bob Sanders の人柄が表れたハートウォーミング(古くさ!)な佳作です。 続く「Ephraim」は異色作。 ボーカルは、ほとんどトーキングスタイルでまるでラップのよう。 時折、女性のバックコーラスや鋭角なギターがパーカッシブなサウンドに入り込む感じはなかなか独特です。 アルバム全体のなかに入ると違和感を感じる人も多いかもしれませんが、出来はけっして悪くないです。 
 B面に入ると、A-1 に近い雰囲気をもった「Drop A Line From Albuquerque」以降はほんわかした私小説的なサウンドが展開されていきます。 ラストの「Sing Love」は、アップな入り出しからミディアムなサビに入るあたりに盛り上がりを見せる楽曲です。 フレンチホルンが入ってきて愛を歌うアンセムという様相を呈してくるところはアルバムラストにふさわしい曲といえるでしょう。 アルバムを通じての感想は、強烈な個性や魅力は感じられませんが、1973年という同時代性は十分に感じられる SSW 作品といったところでしょうか。 次のアルバムを残せなかったことも、肯けてしまいます。

 さて、続いてクレジットを分析してみましょう。 前回ご紹介した Joe Droukas のアルバムの参加者と Bob Sanders の場合を比較すると、まずプロデューサーであるEddie Jason とレコーディング・スタジオの Record Plant が共通です。 レーベルイメージからなんとなく中西部のような印象があるのですが、この2作ともニューヨーク録音です。 プロデューサーの Eddie Jason は、Sweet Fortune Records の成り立ちに深く関与した人物であることは間違いないと思われるのですが、残念ながら彼の経歴などはよくわかりません。 他のレーベルにプロデュース作品が残っていたらそこから想像などもできるのでしょうが。
 ミュージシャンは、Ken Ascher , Rick Marotta , Paul Prestopino , Lori Burton の4人が共通して参加。 この事から、Joe Droukas と Bob Sanders の作品は、比較的同時期に録音されたものではないかと推測します。
 さて、続く Susan Pillsbury のクレジットはどうなっているのでしょうか? そのあたりは次回の投稿をお楽しみに。



■Bob Sanders / Scraps And Napkins■

Side-1
Mountains In The Morning
Everything’s Alright
The Road
Ordinary People
Ephraim

Side-2
Drop A Line From Albuquerque
She’s One Of a kind
Dan
So High When She’s Flying
Sing Love

Sal De Troia : acoustic and electric guitar
Paul Prestopino : acoustic guitar , banjo ,and dobro
Eric Weissberg : steel guitar and fiddle
Bob Sanders : acoustic guitar
Ken Ascher : piano
Joe Mack : bass
Rick Marotta : drums
Jack Jennings : percussion
Don Corrado : french horn

The Louis Harber Strings
Background Vocalist : Lori Burton

Recorded at The Record Plant East , New York City
Produced by Eddie Jason
Arranged and Conducted by Alan Lorber

Sweet Fortune Records SFS-802



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