Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Nancy Nevins

2006-08-14 | Female Singer
■Nancy Nevins / Nancy Nevins■

 1969 年の Woodstock に出演し、数十万人とも言われている聴衆を前に演奏したこともある幻のグループ「Sweetwater」のリード・ボーカルだった Nancy Nevins の唯一のソロアルバム。 Sweetwater がすでに解散した 1975 年に、Tom Cat からリリースされました。 Sweetwater に関してはあまり興味も無く、Woodstock の映像も見たことが無いのですが、このアルバムを聴くための予備知識として、Nancy Nevins がそれまで歩んできた経緯を調べてみました。 すると、かなり切ないストーリーがあったことがわかりました。
 Sweetwater は、名門 Reprise から 3枚のアルバムを発表していますが、Nancy Nevins がフルで参加しているのは 1968 年のファーストのみのようです。 というのも Woodstock の後に Nancy Nevins は重大な自動車事故に遭い、瀕死の重傷となってしまったのです。 かなり重たい後遺症を抱えてしまった Nancy を失ったバンドは空中分解するように 1972 年に解散したということです。 
 そんな Nancy Nevins が再起をかけて 1975 年に発表した唯一のアルバムが、今日ご紹介するアルバムです。 このアルバムを入手したときは彼女のそんなエピソードなどは全く知らず、単にジャケット買いだったのですが。

 アルバムの内容の方はお世辞にも傑作とはいえないもので、おそらくはもっとハスキーでパワフルだったであろう Nancy のボーカルも表現力に乏しく、何か中途半端な作品となってしまいました。 結果的に、全く売れなかったことも十分納得できます。
 アルバムのなかでは、シングルカットされた「We Could Always Say It Was Rainin’」が同時代の女性シンガーを意識したような作品となっています。 この曲のように、SSW 指向の強い作品は、「Lately」や「Joie」、「Just Like A Little Boy」などがあります。 一方、かつての(あくまでも想像ですけど)Sweetwater を髣髴とさせようとするファンキーな曲もあり、全体のバランスを崩してしまっています。 しかも、ソングライティングに秀でたものがないため、魅力的な音楽が醸し出すある種のミラクルのようなエッセンスが全く感じられません。 このアルバムの不調のせいか、Nancy Nevins はその後しばらくの間、音楽シーンから身を引いてしまうことになります。

 しかし、1999 年にアメリカで Sweetwater を題材としたテレビ映画が放映されたのを機に、Sweetwater も再結成し、Nancy Nevins もそのメンバーに加わっているようです。 Nancy 本人の公式ページも発見しました。 けっして順風満帆な人生ではなかったと思いますが、こうして元気そうな姿を見ると、彼女のファンではない自分でも応援したくなります。



■Nancy Nevins / Nancy Nevins■

Side-1
Sunny Face
We Could Always Say It Was Rainin’
Lately
Feel So Good
Don’t Hold Back

Side-2
Barquen Heart
Let Me
Joie
Just Like A Little Boy
Ten Cents A Dance

Produced by Tom Catalano
Arranged and Conducted by Artie Butler

All Compositions by Nancy Nevins
Except ‘Ten Cents A Dance’ by Rogers & Hart

Musicians
Dennis Budimir / Al Casey / Victor Feldman / John Guerin / Dean Parks /
Reinie Press / Sid Sharp (Concert Master) その他省略

Tom Cat Records BYL 1-1063


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