Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Tom Sullivan

2006-08-12 | SSW
■Tom Sullivan / If You Could See What I Hear■

 盲目の歌手 Tom Sullivan は 1975 年に東京歌謡祭に来日し、最優秀歌唱賞を受賞した SSW です。 といっても、当時 11 歳だった僕が、そのことを知ったのはつい先日のこと。インターネットで検索して知ったのですが、今日ご紹介する彼のファースト・アルバムが発売されたのは 1972 年ですので、3 年も経てから東京歌謡祭に呼ばれたというのはちょっと腑に落ちません。 しかも、この「If You Could See What I Hear」を歌っての受賞ということですので。 しかしネットは便利なもので、その理由もすぐに分かりました。 このアルバムをリリースしたレーベル Perception が倒産してしまったにもかかわらず、地道なラジオ・リクエストから、じわじわとこの曲が人気を集め、全米でヒット。 そして、ついに 1975 年に来日という運びとなったようです。 そんなこと全く知りませんでした。

 さて、そんなエピソードのあるこのアルバム。 全体的に、Tom Sullivan の魂の叫びに近いボーカルが全編を貫いているという印象で、けして軽い気分で聴く音楽ではありません。 ましてや、昼下がりの BGM には、まったく成り得ません。
 「If You Could See What I Hear」は、Tom 自身のピアノをバックに彼のエモーショナルなハイトーン・ボイスが繰り広げられます。 スロウで密室のなかで叫んでいるかのようなエコー感があり、心に刺さってくる印象です。 つづく、「What Is A Woman?」も同類の曲ですが、「Idyle Hands」は一転して、トーキング調のイントロから始まるアップ・チューン。 ギターの響きが心地よいメロウナンバー「Fair Play」、映画のサントラみたいな仰々しいアレンジの「Today’s Children Tomorrow’s Earth」はタイトルからして現在の少子化や環境問題を連想します。 
 本人の作詞・作曲でない「Touching You」は、今風にいうとチルアウト的なナンバー。 後半のネチッこいギターソロが印象的です。 最初期の Randy Newman みたいな「Turtles」につづき、内省的な「Naked Truth」ではストに限界までハイトーンで歌い上げるのですが、ちょっとリスナーは引いてしまいますね。 ゴスペル調のピアノに導かれた「Jesus Walked That Lonesome Valley」は、アップテンポのソウルフルな曲。 明日への希望を感じさせるナンバーなのには安心させられます。

 現在も俳優やミュージシャン、著述業などで精力的に活動している Tom Sullivan ですが、レーベルの倒産のせいでしょうか、このアルバムは CD 化されていないようです。 Perception といえば、以前 John Simson の唯一のアルバムをご紹介していますが、こちらも同様に未 CD 化です。
 1947 年に生まれ、未熟児網膜症で失明してしまったという Tom Sullivan 。 彼の人生がフジテレビの人気番組「奇跡体験!アンビリーバボー」で紹介されたことがあるようです。 興味のあるかたは、ココを覗いてみてください。



■Tom Sullivan / If You Could See What I Hear■

Side-1
If You Could See What I Hear
What Is A Woman?
Idyle Hands
Fair Play
Today’s Children Tomorrow’s Earth

Side-2
Touching You
Turtles
Naked Truth
Jesus Walked That Lonesome Valley

All songs Written by Tom Sullivan
Except ‘Touching You’ by Patrick Adams & David Jordan
‘Jesus Walked That Lonesome Valley’ traditional

Produced and Arranged by Tom Sullivan
Associate producer : David Jordan

Recorded at Blue Rock Studio , New York & Deminsion Sound , Boston

Perception PLP 25


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ども (きよ)
2006-08-12 10:33:16
このアルバム大好きです。

アシッド感覚溢れたアルバムで、確かに昼下がりのBGMという雰囲気ではないですね(笑)



自分のブログでもいつか取り上げようと思っていたのに先を越されてしまい取り上げづらくなってしまった(笑)



盲目の件は初めて知りました。
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Unknown (MILKWOOD)
2006-08-17 22:43:23
いつもコメントありがとうございます。 きよさんのブログをBookmarkに入れてよろしいでしょうか?
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ども (きよ)
2006-08-18 15:50:20
私のところでよければブックマークよろしく。

まぁ私のところで既に勝手にこちらをブックマークしてるもんで(笑)
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君の瞳に愛の光 (harry)
2009-01-26 12:58:36
はじめまして、こんにちわ。えーっと、世界歌謡祭出場の際に歌ったのは、このLPの収録曲ではなく、Beauty Is In The Eyes Of The Beholder(邦題:君の瞳に愛の光)というBarry Manilowばりの壮大なバラードです。わたしはこの曲が大変好きで今もCD化されていないかNetで探しています。時々中古のSingleで見かけるのでぜひきいてみてください。
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