Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Dave Anderson

2009-10-22 | Christian Music
■Dave Anderson / Sings Through It All■

  1971 年に発表されたクリスチャン・ミュージック作品。 Dave Anderson がこのジャンルの優れたソングライターの作品を選んで作り上げたボーカル・アルバムです。 クリスチャン・ミュージックの多くは 1975 年を過ぎた頃から、流行の先端であった AOR 風のサウンドを積極的に取り入れ、1977 年から 1982 年頃にはメジャーな AOR 作品と比肩するような名盤も存在します。 しかし、この作品はまだ 1971 年ということで、サウンドも予定調和なアレンジでまったりとしており、優等生の絵日記を読むような内容となっています。 そこにコーヒーとクリームが上手く混ざり合うように、マイルドな Dave Anderson のボーカルが注がれているという印象を受けます。

  この作品では、Dave Anderson の手による曲は1曲もありません。 その代わりに、Andrae Crouch やChuck Girard、Tommy Coomes といった CCM 界の名手による楽曲が並び、当時の CCM ベストカバー的な内容となっています。 残念なことに作曲者の名前がフルネームで表示されていないので、作曲者名を正確に把握できるのは半分くらいですが。

  アルバムの聴きどころは、タイトル曲でもあり Andrae Crouch の手による「Through It All」でしょう。 人生賛歌のように歌い上げる様はある意味このジャンルの王道とも言えます。 ミディアムな曲が続くなか、A 面ラストの「How Great Thou Art」はさらにスロウなバラード。 Paul Potts のようなオペラ歌手に歌ってもらいたいような楽曲です。 B 面では、Meir という人物の曲「His Name Is Wonderful」が流麗でメロウな出来。 つづく作曲者不詳の「Father And I Adore You」では淡々と神への感謝と畏敬の念が歌われます。 どの曲にも共通して言えるのは、ストリングス・アレンジの美しさですが、とくに「Sweet, Sweet Sprit」では、Nick DeCaro かのような繊細な弦の震えが胸を打ちます。 ラストの「Welcome Back」は Chuck Girard が所属していた伝説的な CCM グループ「Love Song」のレパートリーでした。

  さて、再三話題となったアレンジの主は Tom Keene という人物。 AOR ファンの間では、Keane というグループのメンバーだった Tom Keane を連想する人もいるかもしれません。 かく言う僕も、もしかして同一人物かも…と思いましたが、時代考証的には違うのではないかと思います。 仮にそうだとしたら、全編のアレンジと指揮を担当するという早熟なミュージシャンだったということになるのですが。

  最後に主人公の Dave Anderson について触れてきましょう。 彼はこのブログで、Dave and Barb Anderson として紹介したことのあるミュージシャンです。 そのアルバムもこのレコードと同じ Fellowship Records からのリリースでした。 この2つのアルバムの間には丁度 10 年の年月が流れていますが、品番は 223 と 238 ということで 15 しか離れていません。 かなりの寡作なレーベルですが、他にどんなアルバムが残されているのかはまだ調べきれていないのです。

■Dave Anderson / Sings Through It All■

Side 1
Through It All
Alleluja
The Way, The Truth, And The Life
No One Ever Cared For Me Like Jesus
How Great Thou Art

Side 2
Two Hands
His Name Is Wonderful
Father And I Adore You
Sweet, Sweet Sprit
Welcome Back

Arranged and conducted by Tom Keene

Tom Keene : keyboard , guitar
Fred Petry : drums, percussion
Paul Stilwell : bass
Darryl Gardner : trumpet, French horn
Val Johnson : trombone

Violin : Bobby Brace, Murray Korda, Walt Wiemeyer, Becky Sabin
Viola : Mark Kabak
Cello : Nat Gershman

Fellowship Records H-223


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