■Pat Troiani / Somewhere In Paradise■
おととい平年よりも 7 日早く、桜の開花が宣言されました。 三連休の天気は、激しい嵐から晴天そしてまた雨と日替わりメニュー状態でしたが、久しぶりにゆっくり過ごすことができました。
そんな気分にまかせて、取り出したアルバムは季節を先取りしたようなタイトルです。 「楽園のどこか」には誰もが行ってみたいと思いますが、Pat Troiani が腕を組んでいる浜辺がどこなのかは、わかりません。 一見、南国のようですが、背景の山々は急峻でフィヨルド地形のようにも見えます。 山の頂にはうっすらと雪も残っているので、南海の楽園ではないでしょう。 ジャケットにも表記が無いので、想像の域を出ませんが、おそらくはニュージーランドあたりではないか思っています。
さて、このアルバムは正体不明の Pat Troiani がペンシルバニア州アレンタウンでレコーディングしたもの。 制作年の表記はありませんが、サウンドから 1980 年前後と推定しています。 自主制作のアルバムにしては、メジャーでポップな路線なのには、意外な印象を持ちますが、ストレートでシンプルな音作りには好感が持てる内容となっています。 トロピカルなアレンジや、レゲエ調のリズムが多発しそうな気がしますが、それは思い過ごしでした。
アルバムはキャッチーなフォーク・ロック「Tomorrow」でスタート。 粘っこいメロディーとフィドルのせいで、英国のいなたいパブロックの匂いを感じる曲です。 雄大でエモーショナルなワルツ「Someone」、B 級ながらも余裕のある演奏が小気味良いロックンロール「So Much Better」、オーソドックスなミディアム「Every Minute Of The Day」と聴くにしたがって、どことなく Jackson Browne に近い「空気の抜け方」を感じてきます。 そして、「Somewhere In Paradise」を迎えるのですが、この曲こそ、爽快感と乾いた音・アレンジなどがまさに Jackson Browne フォロワーという出来となっています。
B 面に移ってもその指向性に大きな変化はありません。 メロディーセンスの光る「A Good Feeling」は、どこに出しても恥ずかしくないクオリティ。 昼間にFMラジオでかかっても違和感は感じないでしょう。 疾走間あふれるアップな「Right In The Face」につづく「Can’t Seem To Get You To Love Me」は異色のデュエット。 インタリュード的なアクセントとしての位置づけが伝わってくる短めのナンバーです。 再び、活力を取り戻した感じの「Outside Prison Blues」につづき、ラストのバラード「Yuma」と流れていきます。 「Yuma」は唯一の癒し系サウンドで、ジャケットの雰囲気に最も近いものとなっています。 心地よいマリンバの音色がパラダイスへと誘うイメージで、このアルバムの好感度をアップする締めくくりと言えるでしょう。 冒頭にも書きましたが、このアルバムはマイナーレーベルから発売されたとは、信じがたいポップ指向を持っています。 それだけに、逆にどういった背景でこのアルバムが生まれてきたのかが気になるのですが、ネットで調べてもそのあたりは判りませんでした。
アルバムが録音されたペンシルバニアのアレンタウンは、Billy Joel の曲名にもある小さな都市。 ありがちな地名かもしれないと、気になって調べたらやはり間違いありませんでした。 1982 年の「The Nylon Curtain」に収録されたこの楽曲は、不況に苦しむ町と失業に直面した若者の心情を歌ったものです。 Pat Troiani のポップ指向とは正反対の内容ですが、とくに両者を結びつけて考える必要はないので、気にすることではなさそうです。
■Pat Troiani / Somewhere In Paradise■
Side-1
Tomorrow
Someone
So Much Better
Every Minute Of The Day
Somewhere In Paradise
Side-2
A Good Feeling
Right In The Face
Can’t Seem To Get You To Love Me
Outside Prison Blues
Yuma
Produced by Pat Troiani
All selection written by Pat Troiani
Engineered by Jim McGee
Recorded and mixed at Helffrich Recording Labs, Allentown Pa.
Pat Troiani : acoustic guitars, electric guitar, lead and harmony vocals, congas, percussion, marimbas
Stech : bass, electric guitars, pedal steel guitar, mandolin, dobro, lap slide, percussion
Tom perkins : piano, saxophones, harpsichord, synthesizer
Jim Mucha : electric guitars
Dan Sabatine : violins
Chris Nodler : harmony vocals, lead duet
John Warwick : drums
Danny Keim : drums on ‘A Good Feeling’
Igor Stadnyck : accordion on ’Someone’
Dave Charles : piano on ‘Outside Prison Blues’
Jim McGee : marimbas on ‘Yuma’
Wounded Knee Music SIP 1125
おととい平年よりも 7 日早く、桜の開花が宣言されました。 三連休の天気は、激しい嵐から晴天そしてまた雨と日替わりメニュー状態でしたが、久しぶりにゆっくり過ごすことができました。
そんな気分にまかせて、取り出したアルバムは季節を先取りしたようなタイトルです。 「楽園のどこか」には誰もが行ってみたいと思いますが、Pat Troiani が腕を組んでいる浜辺がどこなのかは、わかりません。 一見、南国のようですが、背景の山々は急峻でフィヨルド地形のようにも見えます。 山の頂にはうっすらと雪も残っているので、南海の楽園ではないでしょう。 ジャケットにも表記が無いので、想像の域を出ませんが、おそらくはニュージーランドあたりではないか思っています。
さて、このアルバムは正体不明の Pat Troiani がペンシルバニア州アレンタウンでレコーディングしたもの。 制作年の表記はありませんが、サウンドから 1980 年前後と推定しています。 自主制作のアルバムにしては、メジャーでポップな路線なのには、意外な印象を持ちますが、ストレートでシンプルな音作りには好感が持てる内容となっています。 トロピカルなアレンジや、レゲエ調のリズムが多発しそうな気がしますが、それは思い過ごしでした。
アルバムはキャッチーなフォーク・ロック「Tomorrow」でスタート。 粘っこいメロディーとフィドルのせいで、英国のいなたいパブロックの匂いを感じる曲です。 雄大でエモーショナルなワルツ「Someone」、B 級ながらも余裕のある演奏が小気味良いロックンロール「So Much Better」、オーソドックスなミディアム「Every Minute Of The Day」と聴くにしたがって、どことなく Jackson Browne に近い「空気の抜け方」を感じてきます。 そして、「Somewhere In Paradise」を迎えるのですが、この曲こそ、爽快感と乾いた音・アレンジなどがまさに Jackson Browne フォロワーという出来となっています。
B 面に移ってもその指向性に大きな変化はありません。 メロディーセンスの光る「A Good Feeling」は、どこに出しても恥ずかしくないクオリティ。 昼間にFMラジオでかかっても違和感は感じないでしょう。 疾走間あふれるアップな「Right In The Face」につづく「Can’t Seem To Get You To Love Me」は異色のデュエット。 インタリュード的なアクセントとしての位置づけが伝わってくる短めのナンバーです。 再び、活力を取り戻した感じの「Outside Prison Blues」につづき、ラストのバラード「Yuma」と流れていきます。 「Yuma」は唯一の癒し系サウンドで、ジャケットの雰囲気に最も近いものとなっています。 心地よいマリンバの音色がパラダイスへと誘うイメージで、このアルバムの好感度をアップする締めくくりと言えるでしょう。 冒頭にも書きましたが、このアルバムはマイナーレーベルから発売されたとは、信じがたいポップ指向を持っています。 それだけに、逆にどういった背景でこのアルバムが生まれてきたのかが気になるのですが、ネットで調べてもそのあたりは判りませんでした。
アルバムが録音されたペンシルバニアのアレンタウンは、Billy Joel の曲名にもある小さな都市。 ありがちな地名かもしれないと、気になって調べたらやはり間違いありませんでした。 1982 年の「The Nylon Curtain」に収録されたこの楽曲は、不況に苦しむ町と失業に直面した若者の心情を歌ったものです。 Pat Troiani のポップ指向とは正反対の内容ですが、とくに両者を結びつけて考える必要はないので、気にすることではなさそうです。
■Pat Troiani / Somewhere In Paradise■
Side-1
Tomorrow
Someone
So Much Better
Every Minute Of The Day
Somewhere In Paradise
Side-2
A Good Feeling
Right In The Face
Can’t Seem To Get You To Love Me
Outside Prison Blues
Yuma
Produced by Pat Troiani
All selection written by Pat Troiani
Engineered by Jim McGee
Recorded and mixed at Helffrich Recording Labs, Allentown Pa.
Pat Troiani : acoustic guitars, electric guitar, lead and harmony vocals, congas, percussion, marimbas
Stech : bass, electric guitars, pedal steel guitar, mandolin, dobro, lap slide, percussion
Tom perkins : piano, saxophones, harpsichord, synthesizer
Jim Mucha : electric guitars
Dan Sabatine : violins
Chris Nodler : harmony vocals, lead duet
John Warwick : drums
Danny Keim : drums on ‘A Good Feeling’
Igor Stadnyck : accordion on ’Someone’
Dave Charles : piano on ‘Outside Prison Blues’
Jim McGee : marimbas on ‘Yuma’
Wounded Knee Music SIP 1125