Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Jim Miller

2008-02-22 | Christian Music
■Jim Miller / Entertainer■

  前回の Rick Johnson も平凡な名前でしたが、今日の Jim Miller も負けてはいません。 ハリウッド映画に登場する典型的な銀行員みたいな名前です。 しかも、このアルバムのジャケットに加え、タイトルが「Entertainer」となれば、数百円でも食指が伸びないアルバムです。 1983 年の作品というのも微妙な気持ちになります。

  そんな Jim Miller ですが、ジャンル的にはクリスチャン・ミュージックに入るミュージシャンです。 ジャケットからは想像できませんが、アルバム 1 曲目の「Son Of the Father」が特に CCM 色の強い曲となっています。 この曲は気品あふれるバラードなのですが、「Written for God」とクレジットされています。 この表現にはかなりの勇気がいると思いますが、それだけの自信を感じさせる名曲です。
  
  アルバムはほとんどが自作なのですが、目を引くのが Harry Chapin の代表曲「Taxi」のカバーです。 僕は実は Harry Chapin についてはあまり詳しくないのですが、この曲は 1972 年の彼のデビューヒット。 日本では Harry Chapin は極端に人気がありませんが、1970 年代にアメリカで過ごし、実際にライブを見たことのある人から聞いた話では、考えられないほどの人気だったようです。 ライブの収益をチャリティーするなどの行為は最近ではよく目にしますが、Harry Chapin こそがその元祖的な存在とも言えるようです。
  その「Taxi」に続くのが「The Final Story (Tribute To Harry Chapin)」で、ここで Jim は Harry Chapin を賛美しています。 1981 年に自動車事故で亡くなってしまった Harry の貢献について歌った曲ですが、残念ながら歌詞がわかりません。

  アルバムは、この冒頭 3 曲で語るべきことの 90% を締めているので、他に目立った曲を触れておきましょう。 
  A 面ラストの「Closer Every Day」は、CCM の香りする美しい小曲。 B 面の「Strange Way」はゆったりしたワルツですが、曲の良さとストリングスの心地よさが相まって、アルバムを代表するバラード。 「I’m Just A Barroom Singer」は、Kirk Orr という人物の曲。 有名な曲なのかと思って検索しても出てきませんでした。 しかし、アコギのさりげない弾き語りの曲なのですが、メロディーや雰囲気や可愛らしさ等、このアルバム1番のお気に入りなのです。 Kirk Orr についても正体はわかりませんでした。 ラストの「Did You Ever?」は、憂いのあるミディアム。 心にわだかまりがあるようかのような切ないボーカルが、ストリングスアレンジとともに寄せてきます。

  このようにアルバムには数曲のステ曲(この言葉は好きではありませんが)があるものの、心やすらぐようなメロディーを持つ曲が多く、全体としての出来は悪くありません。 80 年代にありがちな耳障りなシンセの音がなく、生のストリングスを多用していることもアルバムのクオリティに貢献しています。 くどいですが、アーティスト名、タイトル名、ジャケットでことごとく損をしてしまっているのが勿体ないアルバムです。



■Jim Miller / Entertainer■

Side-1
Son Of the Father
Taxi
The Final Story (Tribute To Harry Chapin)
Sing
Closer Every Day

Side-2
Strange Way
Misty Mountain Morning
Feelin’ The Rock
I’m Just A Barroom Singer
Did You Ever?

Produced by Jeff Isaacs and Jim Miller
Engineered and Mixed by Jeff Isaacs

All songs by Rick Johnson
Except ‘Taxi’ by Harry Chapin , ‘I’m Just A Barroom Singer’ by Kirk Orr

Jim Miller : lead and background vocals , acoustic guitar
Kathy Knittel : violin
Angela Sidler : violin
David Odekirk : violin
David Fletcher : violoncello
John Gottschalk : keyboards
Bruce Baugher : drums
Jeff Isaacs : bass guitar
Al Stee : electric guitars
Dave Plaehn : harmonica

Grand Junction Records GJR-05