■Buckwheat / Pure Buckwheat Honey■
Buckwheat という名のグループは 1970 年代に London Records から 4 枚のアルバムを残したグループがいるようですが、今日取り上げたのはおそらく同名の別グループです。
1969 年に Buddah 傘下のマイナーレーベル「Super K」からリリースされたこのアルバムが The Beatles フォロワーのニッチでサイケなポップなのに対し、London Records のほうはスワンプ系のようなのです。 後者は未聴なので断定できませんが。
興味深いのがこの「Super K」レーベルです。このレーベルはバブルガムやソフトロックの名門 Buddah のプロデューサー、Jeffrey Katz と Jerry Kasenetz の 2 人が設立した子会社レーベル。 ふたりの名前の頭文字 K をとって、「Super K」とネーミングしたのでしょう。 1969 年のみの活動ということで成功を収めたとは言えないレーベルで、アルバムもわずか 5 枚しか残されていません。 その中の 4 枚目がこの「Pure Buckwheat Honey」です。
アルバムを代表するポップ・ソング「Yes」でアルバムは始まりますが、この曲のメロディーやアレンジにはどの時代に投入してもヒットしそうな普遍性を感じます。 つづく「Radio」はボードヴィル調。 Nilsson あたりに通じるサウンドです。 凝ったコーラスやアレンジが絶品な「Mr. Simms Collector Man」もオールドタイミーな絶品。 「The Albert Hotel」はバンジョーの香りのするカントリーロック。 しかしそれはThe Byrdsとは異なりあくまでもイギリス的な匂いのするところが気になるところ。 「Sunshine Holiday」はミデイァムからサイケなコーラスに入るあたりが摩訶不思議なサウンド。 このグループの底力と奥深さを感じざるを得ません。 A 面ラストはたまにはシンプルに行こうよ、というメンバーの気分が伝わってきそうな「Goodbye Mr. Applegate」です。 この Applegate は Apple Records のこと? と飛躍した詮索をしたりしています。
B 面に入ると初期 Sparks のような「The Poor Widow & Her Gypsy Band」です。 ボーカルが Ron Mael に似ているのです。 ニッチな小曲「Don’t You Think It Would Be Better」につづく「Purple Ribbons」は美しい正統派バラード。 John Corigliano のアレンジが素晴らしく言葉になりません。 John Corigliano のことを調べてみたら、彼の父親は New York Philharmonic のコンサートマスターを 23 年も務めたほどの優れた音楽家で、彼自身もクラシック界では名の通ったミュージシャンのようです。 しかし、このようなニッチなレコードに参加するとはどういう人脈なのでしょうか。 再度 Sparks に似た「Wonderful Day」、ほのぼのした陽だまりサウンド「Howlin’ At the Moon」とアルバムは続き、ラストの「Pure Buckwheat Honey」へ。 この曲も後期のThe Beatles のような豊なアイディアとコーラスが堪能でき、アルバムが徐々に幕を落としていく予感をにじませることに成功しています。
このアルバムは買ってからしばらく放置していて聴かなかったのですが、まさかここまで素晴らしい名盤だとは思いもしませんでした。 何と言っても楽曲の良さと、John Corigliano の抜群のアレンジには参りました。 Super K の他のレコードは聴いたことがありませんが、このアルバムを超える作品はないでしょう。 早く再評価され、CD 化されることを願うばかりです。
さて、最後にアルバムを読みほどくヒントをいくつか。 John Corigliano のことは述べましたが、プロデューサーの Robert Margouleff についても触れておきましょう。 彼は、Stevie Wonder の「Innervisions」といった 1970 年代前半の名作に Malcom Cesil とともにプロデュースで参加しています。 この 2 人は Moog Synthesizer の名手としてユニットとしてのアルバムも残しています。 次に「Super K」に関してですが、ドイツのレーベルからベスト的な CD が発売されています。 しかし、この CD には、残念ながら Buckwheat の音源は含まれていません。
メンバーのフルネームすら分からない謎のグループですが、Buckwheat の残した唯一のアルバムは 1969 年に産み落とされた数多くの名盤にけして見劣りしない傑作です。
■Buckwheat / Pure Buckwheat Honey■
Side-1
Yes
Radio
Mr. Simms Collector Man
The Albert Hotel
Sunshine Holiday
Goodbye Mr. Applegate
Side-2
The Poor Widow & Her Gypsy Band
Don’t You Think It Would Be Better
Purple Ribbons
Wonderful Day
Howlin’ At the Moon
Pure Buckwheat Honey
Produced by Robert Margouleff
Orchestra Arranged and Conducted by John Corigliano
Recorded at Broadway Recordings Studios , New York
Buckwheat : Tim , John , Charlie , Dan
Super K Records SKS 6004
Buckwheat という名のグループは 1970 年代に London Records から 4 枚のアルバムを残したグループがいるようですが、今日取り上げたのはおそらく同名の別グループです。
1969 年に Buddah 傘下のマイナーレーベル「Super K」からリリースされたこのアルバムが The Beatles フォロワーのニッチでサイケなポップなのに対し、London Records のほうはスワンプ系のようなのです。 後者は未聴なので断定できませんが。
興味深いのがこの「Super K」レーベルです。このレーベルはバブルガムやソフトロックの名門 Buddah のプロデューサー、Jeffrey Katz と Jerry Kasenetz の 2 人が設立した子会社レーベル。 ふたりの名前の頭文字 K をとって、「Super K」とネーミングしたのでしょう。 1969 年のみの活動ということで成功を収めたとは言えないレーベルで、アルバムもわずか 5 枚しか残されていません。 その中の 4 枚目がこの「Pure Buckwheat Honey」です。
アルバムを代表するポップ・ソング「Yes」でアルバムは始まりますが、この曲のメロディーやアレンジにはどの時代に投入してもヒットしそうな普遍性を感じます。 つづく「Radio」はボードヴィル調。 Nilsson あたりに通じるサウンドです。 凝ったコーラスやアレンジが絶品な「Mr. Simms Collector Man」もオールドタイミーな絶品。 「The Albert Hotel」はバンジョーの香りのするカントリーロック。 しかしそれはThe Byrdsとは異なりあくまでもイギリス的な匂いのするところが気になるところ。 「Sunshine Holiday」はミデイァムからサイケなコーラスに入るあたりが摩訶不思議なサウンド。 このグループの底力と奥深さを感じざるを得ません。 A 面ラストはたまにはシンプルに行こうよ、というメンバーの気分が伝わってきそうな「Goodbye Mr. Applegate」です。 この Applegate は Apple Records のこと? と飛躍した詮索をしたりしています。
B 面に入ると初期 Sparks のような「The Poor Widow & Her Gypsy Band」です。 ボーカルが Ron Mael に似ているのです。 ニッチな小曲「Don’t You Think It Would Be Better」につづく「Purple Ribbons」は美しい正統派バラード。 John Corigliano のアレンジが素晴らしく言葉になりません。 John Corigliano のことを調べてみたら、彼の父親は New York Philharmonic のコンサートマスターを 23 年も務めたほどの優れた音楽家で、彼自身もクラシック界では名の通ったミュージシャンのようです。 しかし、このようなニッチなレコードに参加するとはどういう人脈なのでしょうか。 再度 Sparks に似た「Wonderful Day」、ほのぼのした陽だまりサウンド「Howlin’ At the Moon」とアルバムは続き、ラストの「Pure Buckwheat Honey」へ。 この曲も後期のThe Beatles のような豊なアイディアとコーラスが堪能でき、アルバムが徐々に幕を落としていく予感をにじませることに成功しています。
このアルバムは買ってからしばらく放置していて聴かなかったのですが、まさかここまで素晴らしい名盤だとは思いもしませんでした。 何と言っても楽曲の良さと、John Corigliano の抜群のアレンジには参りました。 Super K の他のレコードは聴いたことがありませんが、このアルバムを超える作品はないでしょう。 早く再評価され、CD 化されることを願うばかりです。
さて、最後にアルバムを読みほどくヒントをいくつか。 John Corigliano のことは述べましたが、プロデューサーの Robert Margouleff についても触れておきましょう。 彼は、Stevie Wonder の「Innervisions」といった 1970 年代前半の名作に Malcom Cesil とともにプロデュースで参加しています。 この 2 人は Moog Synthesizer の名手としてユニットとしてのアルバムも残しています。 次に「Super K」に関してですが、ドイツのレーベルからベスト的な CD が発売されています。 しかし、この CD には、残念ながら Buckwheat の音源は含まれていません。
メンバーのフルネームすら分からない謎のグループですが、Buckwheat の残した唯一のアルバムは 1969 年に産み落とされた数多くの名盤にけして見劣りしない傑作です。
■Buckwheat / Pure Buckwheat Honey■
Side-1
Yes
Radio
Mr. Simms Collector Man
The Albert Hotel
Sunshine Holiday
Goodbye Mr. Applegate
Side-2
The Poor Widow & Her Gypsy Band
Don’t You Think It Would Be Better
Purple Ribbons
Wonderful Day
Howlin’ At the Moon
Pure Buckwheat Honey
Produced by Robert Margouleff
Orchestra Arranged and Conducted by John Corigliano
Recorded at Broadway Recordings Studios , New York
Buckwheat : Tim , John , Charlie , Dan
Super K Records SKS 6004