■Rick Jonhson / Gold-Fever Blind■
MGM-2001 という品番のレコードですが、もちろんこの MGM は大手の映画会社 MGM(Metro-Goldwin-Mayer)ではありません。 このレコードでの MGM とは今日の主人公 Rick Johnson の自主レーベル Mountain Ghost Music のことなのです。
Rick Johnson という平凡な名前、凡庸なジャケット・デザイン、そして繊細さを感じさせない Rick Johnson のたたずまいもあり、このレコードがお気に入りの1 枚になる可能性は薄いと思っていましたが、その予想はいい意味で裏切られました。 骨太でソリッドなロック、クルマで砂漠のハイウェイを駆け抜ける時の BGM のような音楽が出てくるかと思えば、意外にも清涼感のあるメロウなサウンドが全編を貫いていたのです。
レコードに針を落とすと、カントリーがかった「Until It’s Told」で Rick Johnson の優しい歌声を知ることになります。 このヒゲ面でこの声!と思うほど爽やかなボーカルに聴き手の誰もが驚くことでしょう。 つづく「Tomorrow」は私的なたたずまいのするミディアムですが、洗練されたアレンジが光ります。 「My Honey Wine」はウェスト・コースト風 AOR のようでキャッチーなサビが親しみやすい楽曲。 シングルカット向きです。 アルバムタイトル曲「Gold-Fever Blind」はメロウなワルツ。 Rick Johnson の繊細なハイトーン・ボイスが堪能できます。 A 面は疾走感のある「Buckle Of Gold」、女性ボーカルの Maureen May との掛け合いが魅力の「It Breaks My Heart」と続きます。
B 面は 1980 年代風のシンセの音が耳につく「Walk Away A Winner」でスタート。 この曲はアルバム中で最も商業的な響きがして個人的には残念です。 つづく「If I Was In Love With You」はタイトルどおりのセンチな楽曲。 その流れを汲んだ「I Need You」はストレートなラブソング。 「Thank You For The Courage」はメッセージ色の強い大作ですが、サウンド的には平凡な出来。 しかしつづく「Before The Spring」はストリングスの音色が美しいバラードとなりアルバムの聴きどころになっています。 ラストの「Where Would I Be Without The Queen?」はロンドンからアメリカに移住した気持ちを歌った曲。 先行きへの心細さと期待感が同居しているさまを上手く表現しています。 もしかして、Rick Johnson 自身の体験のことなのでしょうか? Rick Johnson の音楽から英国的な要素はあまり感じなかったのですが。
このアルバムが発表されたのは 1984 年のこと。 サウンドは 1970年代の良質な SSW アルバムに通じるものがあるのですが、アレンジセンスの所々に 80 年代ならではのエッセンスがまぶされているのも事実です。 曲数が 12 曲と多いこともあり、もう少し絞り込んで凝縮したほうが、より良いアルバムに仕上がったのだろうと思います。
とはいえ、冒頭でも少し書いたように、このアルバムの心地よさは捨てがたいものがあります。 シアトルのお隣にあるタコマから届けられただけあって、緯度の高さを実感できる内容となっています。
Rick Johnson の残したアルバムは残念ながらこの 1 枚のようですが、共同プロデューサーであった David Lange は現在もなお David Lange Studio を経営しているようです。 公式ページには 25 年の歴史があるとの記載がありましたが、きっと「Gold-Fever Blind」はこのスタジオで録音された最初期の作品なのでしょう。
■Rick Jonhson / Gold-Fever Blind■
Side-1
Until It’s Told
Tomorrow
My Honey Wine
Gold-Fever Blind
Buckle Of Gold
It Breaks My Heart
Side-2
Walk Away A Winner
If I Was In Love With You
I Need You
Thank You For The Courage
Before The Spring
Where Would I Be Without The Queen?
Produced and Arranged by Rick Johnson and David Lange
Recorded and Mixed at David Lange Studios , Tacoma, Wahington
All songs by Rick Johnson
Rick Johnson : vocals , background vocals , acoustic & electric guitars
David Lange : keyboards , strings arrangement on ‘Before The Spring’& lead magician
Tag Henning : bass
Tony LeDonne : drums
Marlin Martindale : electric guitar on ‘Until It’s Told’ and ‘My Honey Wine’
Chris Middaugh : pedal steel on ‘Buckle Of Gold’ and ‘If I Was In Love With You’
Chris Jeffrey : electric guitar on ‘My Honey Wine’
Maureen May : female vocals on ‘It Breaks My Heart’ and ‘Before The Spring’
Tim Brye : sax on ‘Tomorrow’
Mountain Ghost Music MGM-2001
MGM-2001 という品番のレコードですが、もちろんこの MGM は大手の映画会社 MGM(Metro-Goldwin-Mayer)ではありません。 このレコードでの MGM とは今日の主人公 Rick Johnson の自主レーベル Mountain Ghost Music のことなのです。
Rick Johnson という平凡な名前、凡庸なジャケット・デザイン、そして繊細さを感じさせない Rick Johnson のたたずまいもあり、このレコードがお気に入りの1 枚になる可能性は薄いと思っていましたが、その予想はいい意味で裏切られました。 骨太でソリッドなロック、クルマで砂漠のハイウェイを駆け抜ける時の BGM のような音楽が出てくるかと思えば、意外にも清涼感のあるメロウなサウンドが全編を貫いていたのです。
レコードに針を落とすと、カントリーがかった「Until It’s Told」で Rick Johnson の優しい歌声を知ることになります。 このヒゲ面でこの声!と思うほど爽やかなボーカルに聴き手の誰もが驚くことでしょう。 つづく「Tomorrow」は私的なたたずまいのするミディアムですが、洗練されたアレンジが光ります。 「My Honey Wine」はウェスト・コースト風 AOR のようでキャッチーなサビが親しみやすい楽曲。 シングルカット向きです。 アルバムタイトル曲「Gold-Fever Blind」はメロウなワルツ。 Rick Johnson の繊細なハイトーン・ボイスが堪能できます。 A 面は疾走感のある「Buckle Of Gold」、女性ボーカルの Maureen May との掛け合いが魅力の「It Breaks My Heart」と続きます。
B 面は 1980 年代風のシンセの音が耳につく「Walk Away A Winner」でスタート。 この曲はアルバム中で最も商業的な響きがして個人的には残念です。 つづく「If I Was In Love With You」はタイトルどおりのセンチな楽曲。 その流れを汲んだ「I Need You」はストレートなラブソング。 「Thank You For The Courage」はメッセージ色の強い大作ですが、サウンド的には平凡な出来。 しかしつづく「Before The Spring」はストリングスの音色が美しいバラードとなりアルバムの聴きどころになっています。 ラストの「Where Would I Be Without The Queen?」はロンドンからアメリカに移住した気持ちを歌った曲。 先行きへの心細さと期待感が同居しているさまを上手く表現しています。 もしかして、Rick Johnson 自身の体験のことなのでしょうか? Rick Johnson の音楽から英国的な要素はあまり感じなかったのですが。
このアルバムが発表されたのは 1984 年のこと。 サウンドは 1970年代の良質な SSW アルバムに通じるものがあるのですが、アレンジセンスの所々に 80 年代ならではのエッセンスがまぶされているのも事実です。 曲数が 12 曲と多いこともあり、もう少し絞り込んで凝縮したほうが、より良いアルバムに仕上がったのだろうと思います。
とはいえ、冒頭でも少し書いたように、このアルバムの心地よさは捨てがたいものがあります。 シアトルのお隣にあるタコマから届けられただけあって、緯度の高さを実感できる内容となっています。
Rick Johnson の残したアルバムは残念ながらこの 1 枚のようですが、共同プロデューサーであった David Lange は現在もなお David Lange Studio を経営しているようです。 公式ページには 25 年の歴史があるとの記載がありましたが、きっと「Gold-Fever Blind」はこのスタジオで録音された最初期の作品なのでしょう。
■Rick Jonhson / Gold-Fever Blind■
Side-1
Until It’s Told
Tomorrow
My Honey Wine
Gold-Fever Blind
Buckle Of Gold
It Breaks My Heart
Side-2
Walk Away A Winner
If I Was In Love With You
I Need You
Thank You For The Courage
Before The Spring
Where Would I Be Without The Queen?
Produced and Arranged by Rick Johnson and David Lange
Recorded and Mixed at David Lange Studios , Tacoma, Wahington
All songs by Rick Johnson
Rick Johnson : vocals , background vocals , acoustic & electric guitars
David Lange : keyboards , strings arrangement on ‘Before The Spring’& lead magician
Tag Henning : bass
Tony LeDonne : drums
Marlin Martindale : electric guitar on ‘Until It’s Told’ and ‘My Honey Wine’
Chris Middaugh : pedal steel on ‘Buckle Of Gold’ and ‘If I Was In Love With You’
Chris Jeffrey : electric guitar on ‘My Honey Wine’
Maureen May : female vocals on ‘It Breaks My Heart’ and ‘Before The Spring’
Tim Brye : sax on ‘Tomorrow’
Mountain Ghost Music MGM-2001