Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Rick Piche

2007-04-29 | SSW
■Rick Piché / Statue■

 1986 年に発表された Rick Piché のセカンドアルバムを取り上げます。 Rick Piché は 1980 年代にカナダのオンタリオを拠点に活動したシンガーソングライター。 このアルバムは彼のセカンドで、1981 年にファーストを、1990 年にサードアルバムを発表しているようです。 僕が持っているのはこの 1 枚だけですが、できればファーストアルバムは聴いてみたいと思っています。

 全編が彼のオリジナルとなっているこのアルバムは、クレジットに Emulator とか DX7 のプログラミングという記載がるように、「打ち込みサウンド」が定着しつつある時代に生まれた作品です。 そういうこともあって、隠れた名盤とか必聴のアルバムでは全くないのですが、日本ではほとんど取り上げられたことのないミュージシャンということもあって、ピックアップしてみた次第です。

 オープニングを飾る「Invocation」は、ギターとシンセ、パーカッションによるスケール感のあるサウンド。 アイルランドのシンガーソングライター Luka Bloom(もちろん彼は現役ですが)の同年頃の作品に近いイメージです。 アルバムタイトル曲「Statue」はミディアムで親しみやすい名曲。さりげないバックのサポートもあって、大人の味わいです。 ちょっと耳障りなアレンジと音色がいかにも80 年代という感じの「Lonely Man」は凡庸な出来。 続く「Jealous One」は AOR テイストの感じられるギターが目立ったライト&スムースな曲。「Little Man」は女性コーラスも加わった円熟味のあるバラード。 歌詞を見ると CCM 的なものを感じますが、リラックスした音作りに好感が持てる曲に仕上がっています。

 「Vanity」は、ファンキーなアレンジとチープなシンセの音でかなり興醒めですが、ぎりぎり許容できる範囲。 続く曲は「Smithereens」です。 同名のバンドがいたことを覚えていますね。 The Popper’s MTV 世代であればお馴染みのバンドです。 彼らはまだ現役で「Meet the Smithereens」という The Beatles の全曲カバーアルバムを発表したばかりですね。
 まったく関係のない話になってしまいましたの話を戻します。「Love Just A Little Bit More」は、「Statue」や「Little Man」と並ぶ美しいメロディーを持つ曲でお薦めです。続く「Compromise」は、ちょっとコメントしづらいアップテンポの曲。 ラスト前だから許せるけど、彼の持ち味が消えてしまっているアップ・ナンバーです。 ラストの「Child」は、Rick Piché のギターが美しいバラードで聴き応えがあります。

 さて、いつものように Rick Piché の公式ページを探してみましたが、ありませんでした。 その代わりに検索されてきたのが、「Classroom Guitar .org」というサイトです。 これは Rick Piché が運営している音楽学校なのでしょうか。 それともギター教則本の出版社なのでしょうか。 いずれにしても、すっかり太ってしまった Rick Piché の近影を見ることができますし、彼が地道に音楽家として活動していることが判明しました。 二人の息子さんもバンドを組んでいて、娘さんもミュージシャンという音楽一家で幸せに暮らしている様子ですね。

 

■Rick Piché / Statue■

Side-1
Invocation
Statue
Lonely Man
Jealous One
Little Man

Side-2
Vanity
Smithereens
Love Just A Little Bit More
Compromise
Child

All Songs written and composed by Rick Piche
Executive Producer : Frank McKellar
Produced by Earl McCluskie and Rick Piche

Rick Piche : lead vocals , acoustic guitar
Kenny Trevenna : drums , percussion
Paul Steenhuis : bass
Derek Black : keyboards , Emulator programming
Randy Hicks : electric guitar
Richard Stouffer : tabla drums
Ken Hadley : saxophone
Peter Kryshtalovich : keyboards , DX7 programming
Rick Baskerville : keyboards
Paul Koly : Piano on ‘Little Man’
Margaret Piche / Ruth Ovens / Ken McLennan / Fiano McKinnon / Sandy Vasicek : background vocals
London Gospel Temple Kids Choir : background vocal on ‘Child’
Earl McCluskie : French horn on ‘Child’

Signature Records ST 0026