日々雑感 ~写真と思い~

今日と言う日は、二度と来ない。 
だから今日を大切に・・そんな私のデジカメ散歩 

* 立冬 *

2013年11月07日 | 雑感


机の引き出しを開けると父がいる。  父の愛用の・・と言うより愛煙家な父の吸っていた古い煙草がある。
黄緑色のゴールデンバットから、ホープ、エコー、ハイライトが7箱ほどある。
36年も前、船乗りだった父は九州の玄界灘に面した港の海で、帰らぬ人となった。

私は父が大好きだった。  厳しいと言うよりも、心やさしい父は世界一好き・・と良く言っていた。
娘時代京都にいた五年間、筆まめな父は良く手紙をくれたし、電話もくれた。
お医者さまに住み込んでいた私は、辛い事もいっぱいあったので父の声を聞いただけで涙が出ていつも泣いてしまう。
奥さまに「お父さんの声聞いただけで泣くやなんて、あんたはおかしな子やなぁ」と良く笑われた。 
奥さまには男の子2人だったので、その辺が違うのだろうか。

子供の頃から朝型人間で5時には起きていた私は、早朝部屋でラジオを聞くのが習慣になっていた。
あるとき浪曲好きな父はいつも聞いていると知ってから、私も浪曲を聞くようになった。
今何処かの暗い海を走りながら、父も浪曲を聞いている・・そう思うと、父の笑顔が見えてそばにいるような気がして温かい気持ちになった。
ささやかな満足感が私を楽しくさせ、今日もまた頑張ろうと、元気づけてくれた。

”娘時代父親を尊敬し父親が好きだった娘さんは幸せな結婚生活が送れる”と聞いたことがあって、私も幸せになれる・・と思ってきた。
『子や孫に 美田(財産)を残すな・・』そんな言葉を良く聞いてきた。
親亡き後人が変わったように、財産をめぐる兄弟の醜い争いを、身近でもまた人の話見たり聞いたりした事がある。
子供に残すのは、人としての生き方や家族の愛し方、夫婦にあってはお互いを慈しみ信頼しあい愛し合う心、そんな生き様を心を残す事が
一番大切なのだろうと親を見てきて、また今親として過ごしながら本当にそうだと思う。

父がいつもいつも口にしていた言葉、大好きなお酒が入ると陽気になる父は話の終わりや電話の終わりには必らずと言っていいほど 
「兄弟仲ようにしんさいよ」が口癖だったが、他界して36年、今は母が言うし、姉や妹たちと電話したときは、両親の口真似で、最後には
笑いながら言い合うのである。  
「兄弟仲ように」 その父の言葉、そして母の言葉を言い合うのである。

幸せなことに 五人兄弟の夫もみんな兄弟仲が良い。 帰省の際は義兄が集合をかけみんなが集まり賑やかな宴になる。
嫁同士ももちろん仲がいい。  私の実家にしても然り、夫婦とも兄弟仲がいいのである。
どんなに物があろうと、お金があろうと何が幸せか・・と言うと、やはり”人の和”仲が良いと言うことではないだろうか。
残す財産など無いが、思いやる心、親子、兄弟仲ようにのそんな生き方を子供達に継承すること、この事が親としての責任かも知れない。
私たち夫婦の自分たちの”本当に楽しい”は、その辺にあるのではないだろうか。  
世の中・・人・物、金であるはずが、年の終わりに人をないがしろにした、金・物・人そんな出来事があまりに多くて悲しくなる。

「兄弟仲ように」そんな言葉を言い続けてくれた親には、言葉の心の財産を残してくれたことが感謝である。
私に、言い続けると言うそんな説得力はないが、違った形でそんな大切な生き方を子供たちへ残して行きたいと思う。
まだまだ夫婦としても親としても、学びの途中だけれど。

色があせて角がまるくなっているゴールデンバットの煙草一つ・・
今にも 父の手が伸びて封をあけそうな・・そんな気がする。

今日は立冬・・風は冷たいが心は・・

 

        一日一回、幸せめくり (七日 )    西野未来さん

                 小さい頃は 何にだってなれると思った   いつの間やら大人に慣れて

                  表情も瞳の色だって  すっかり変わった

            思い出してみて 好きだったもの  声に出してごらん やりたかたこと

                  遅くないよ だって まだ生きてるんだもん



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2 コメント

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真っ直中ですね。 (プレ・ステイシャン)
2013-11-21 20:45:56
 気持ちの暖かくなる「ゴールデンバット」・・・のお話、ありがとうございます。
お父様・お母様の、お言葉や性格の伝承は、とても素晴らしいものと思います。
 みくさんはまだまだとご謙遜ですが、ご兄弟ご家族・・・仲良く過ごされてい
ることは、何ものにも代えがたいものです。
 人生は、何時も今日が良い出来ばえの日かと思いす。
まだ、ああしてこうなってと思えば疲れてしまいますが、ここまで来られたと思
えば、安心満足で疲れ知らずと思えるのではないでしょうか。
 未来さんの「幸せ」が、辺りにさざ波のように広がって、「あのように成りたい」
と思って下さる方があれば、さらに周りが明るくなりますね。
そんな、大切な大切な無くてはならない存在が「みくさん」です。
いつも変わらぬお元気なパワーを、これからもずーと発信し続けられますように
お願いします。



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☆プレ・ステイシャンさんへ☆ (みく)
2013-11-22 00:46:00
コメントありがとうございます!

いつもコメントの中より、落ち込んでいる時でも陰で応援して下さっているのを感じさせて頂き、
そうだ・・一日一日おっしゃるように、「今日が良い出来ばえの日」と思い過ごす人生を、
(それもそう言えるように過ごさないといけないのですが)そうありたいと思います。

>まだ、ああしてこうなってと思えば疲れてしまいますが、ここまで来られたと思えば、
>安心満足で疲れ知らずと思えるのではないでしょうか。
そうですね、私はいつもその辺が今日も昨日もちょっと思いと現実の中で悶々としていた気がしました。
それが疲れの原因かもしれませんね。 足るを知らない、言えば偉そうな自分かも知れません。
このことは大切なことですね、今の私に適切なアドバイス有難うございます。

親ってすごいですね、物の無い苦労の時代も過ごしてきたのに、それは知恵や工夫、
生き方そのものが楽しい思い出となり、こうしていいものを伝えてくれたのですから。
そのバトンタッチ・・受けたものの、ちゃんと走らなければ、そうして
子供たちが最後まで落とさないで走りきれるように・・
まだまだ自分たちも転ばぬように、そして子供たちも見守って行かなければなりません。

還暦を過ぎたら・・とあれこれ描いてきたやりたいこと、なりたい自分、その欲が薄らいで・・
身近な幸せ・・家庭・それが一番と思ってしまい、随分と弱気になってしまいました、困ったものです。
でも・・振り返りやり直すことのできない過去、ならば少しでもよりよい一日を、そんな日を積み重ね・・
あぁ、やっぱり消極的ですね。
でも、大いなる励ましを頂いたのですから、ちょっと気持ち入れ替えます。
このブログも、説得力のない母親として、子供たちへ言えない分、残す生きざまとして・・
そのことも立ち上げた理由なのですから、未来となずけたのも子供たちの未来へ・・の意味でもあるのですから。
温かい励まし、有難うございます。

90の母は、兄夫婦、孫家族と車で京都の姉の所へ向け、紅葉の秋の中を旅行します。
「元気で長生き、それが子孝行」と言い続けた母の素晴らしい答えのようです。 とてもまねが出来ません。
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