徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:話題の達人倶楽部編『大人の語彙力が面白いほど身につく本 レベル1&2』(青春出版社)

2017年12月04日 | 書評ー言語

『大人の語彙力が面白いほど身につく本』の1と2も今年出版されたばかりの新しい本です。

大人の語彙力が面白いほど身につく本』レベル1(2017年2月発行)の目次は以下の通りです。

Step 1 言葉を正確につかむのが、語彙力の基本です

Step 2 その「書き間違い」、語彙力を疑われます

Step 3 語彙力アップの鍵は「言い間違い」をしないことです

Step 4 あらたまった言葉を使えれば、大人として一人前です

Step 5 カタカナ語を「武器」にすると語彙力は面白いほど上がります

Step 6 言葉の使い方が魅力的な人は上手に「たとえ」を使っています

 

情報量が多く勉強にはなりますが、索引がないので辞書的な使い方はできず、また語彙の分類も言葉の意味や使用状況によって分類されているわけではないので、いざという時に特定の言葉を確認するのには不向きです。

また「面白いほど身につく」というタイトルに相応しい教育学的な工夫が凝らされているわけではなくただの羅列なので、「身につく」ほうに期待していると失望せざるを得ません。身につけるには、この本を何度も読むか自分なりのノートなりカードなりを作成して学習する必要があります。もちろん一度見ただけで何でも記憶できる方は別ですが。

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大人の語彙力が面白いほど身につく本』レベル2(2017年9月発行)の目次は以下の通りです。

Step 1 たった一つの読み間違いであなたの日本語が台無しです

Step 2 大人になると、言い間違えても誰も指摘してくれません

Step 3 これを言うだけで、「言葉を知らない人」と思われます

Step 4 意味をおさえないと痛い目にあう日本語です

Step 5 人の品性は書き間違いひとつにあらわれます

Step 6 書き間違いひとつで、あなたの教養がはかられています

Step 7 カタカナ語を使うならこのポイントは外せません

Step 8 大人社会では、言葉を武器にするしかありません

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レベル2も1と同じことが言えます。索引がないので辞書的な使い方はできません。

私にとって参考になったのは、最近変更された外来語や外国名・地名表記法やひらがなで書いた方がいい言葉、そしてレベル1・Step 6の比喩のつくり方やレベル2・Step 8の中の【ご】のつく上級敬語などです。

掲載内容の中でそれは一般的な「大人の語彙力」には属さないのではないかと疑問に思ったのが、アナウンサー泣かせの言葉やプロのライターなら間違えてはいけない書き方でしょうか。知っていれば「通」なのかもしれませんけど、他の重要な語彙や表現と並べて記載することではないように思います。本の構成が基本的に語彙の「羅列」なので余計に「情報のごった煮」のような印象を受けます。

国語に関する世論調査でどの言葉がどれほどの割合の人に本来の意味ではない解釈がされているかを取り上げた章(レベル1、38-42)は、非常に興味深く読みました。言葉というものは時の流れと共にその意味や形状が変わったり他の言葉に取って代わられたりするものですが、まさにその変化の最中の言葉が捉えられるというのは貴重な情報だと思います。変化が完了していない言葉に関しては、本来の意味と現在優勢になりつつある意味の両方を知っていると、コミュニケーションの際に誤解を少なくする一助となると思います。
因みに私はそこに挙げられていた言葉の中で、新しい解釈をする人の割合が50%以上あった言葉のほとんどを、新解釈の方で理解・使用していました。これはつまり、意味の変遷が、ここ20年くらいのことではなく、もっと以前から始まっていたということなのでしょうね。



書評:語彙力向上研究会著、『できる人の語彙力が身につく本』&『ビジネスですぐ使える語彙力が身につく本』

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書評:語彙力向上研究会著、『できる人の語彙力が身につく本』&『ビジネスですぐ使える語彙力が身につく本』

2017年12月01日 | 書評ー言語

先日翻訳実務検定試験で和文独訳は合格したのに独文和訳は不合格だったので、やはり日本で社会人にならないままドイツに来てしまったために日本語能力が不足しているのだろうと思い、改めて日本語の勉強をしようと何冊かその手の本を買いました。そのうちの2冊が語彙力向上研究会の『できる人の語彙力が身につく本』と『ビジネスですぐ使える語彙力が身につく本』(知的生き方文庫)です。

できる人の語彙力が身につく本 一目置かれる“大人の伝え方”!』(2017年7月発行)はどちらかというと古典的な教養語彙に重点があります。目次は以下の通りです。

第1章 社会人として評価される語彙力の磨き方

第2章 ビジネスで使える、知性が輝く語彙

第3章 日常会話に驚くほど深みが出る語彙

第4章 気持ち・イメージが伝わる慣用句とことわざ

第5章 うっかり間違えると恥をかく語彙

第6章 気持ちや様子がピタッと伝わる語彙

第7章 上手に使うと評価が上がる四字熟語

 

第1章から6章までで扱われている語彙のうち大体75%は既知のものでした。とはいえ由来まで知っていたものはそれよりも少ないですし、自分が積極的に使いこなせるものとなるともっと少なくなりますね。「辛党」の意味を勘違いしていたことに気付けたのも収穫でした(笑)。

第7章の四字熟語はこれこそ私の弱点と言えるくらいで、知っていた四字熟語はせいぜい半分くらいでした。ここで紹介されている四字熟語の中で知らなかったものを覚えるのはかなり大変そうです。もともと漢文が苦手なので、それに由来する四字熟語も実はあまり好きではないのです。四字熟語の英訳を探して、それとセットならもう少し親しみを持って覚えやすくなるかもしれませんね。

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ビジネスですぐ使える語彙力が身につく本』(2017年10月発行)では、よく耳にするカタカナ語や経済用語、社会人として知っておきたいビジネス用語、趣のある日本語、四字熟語やことわざ・慣用句などが、使い方とともに紹介されています。

目次は以下の通りです。

第1章 仕事で評価される語彙力の養い方

第2章 今さら誰にも聞けないビジネス用語

第3章 プレゼンや商談で使うと効果的な言葉

第4章 知っておくと得するビジネス用語

第5章 時代の潮流として知っておきたい言葉

第6章 ビジネスの現場でよく使われる言葉

第7章 できる人が使っていることわざ・慣用句

第8章 決め言葉に使える四字熟語

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本書で紹介されていることわざや四字熟語は『できる人の語彙力が身につく本』と重複しているものは、ほとんどないと思います(「鬼門」は両方で取り上げられています)。だから2冊とも買う意味があると思います。

第1章から第6章までで紹介されている語彙のほとんどを知っていました。未知のものはわずかで、カタカナ語で日本独特の意味で使われている語彙(例えば「商品の画一化」という意味での「コモディティ」)あるいは省略形で使われている語彙(例えば「オワコン」や「ブレスト」)、または昔とは違う意味になっている語彙(例えば「パトロン」)などがそれに当たります。

「当たり屋」が「ヒットメーカー」の意味で使われるということには、かなりの衝撃を受けました。私が知ってる「当たり屋」の意味は「車にわざと当たって、慰謝料を脅し取る詐欺師」でしたので。なんだか隔世の感がありますね。

第7章のことわざ、第8章の四字熟語は知らないものの方が多かったです。

この本を読んでて、自分が思いのほか金融用語に強いことに気が付きました。これはきっと池井戸潤の作品をほぼ制覇したおかげなのではないかと思います。1冊や2冊読んだくらいでは身につかないかもしれませんが、10冊以上読めばよく出て来るキーワードくらいはさすがに自分の語彙として定着します。語彙を増やすのに読書という手段は、やはり有効みたいですね。

しかしながらことわざや四字熟語はどうやって身に着けていけばいいものやら皆目見当もつきません。小説などの中に使われていたとしても、一度意味を調べたくらいではまず身につかないし、次の小説を読みだす頃にはどんなことわざ・四字熟語だったか忘れているでしょうから。単語帳みたいなものを作って受験生よろしく暗記するのはいかにも不毛で退屈な感じです。なにか楽しみながらそういうのを勉強できる方法、ないでしょうかね?

とにかく、この2冊を読んで自分の弱点がどこにあるのかはっきりしたのは、大きな収穫でした。


書評:話題の達人倶楽部編『大人の語彙力が面白いほど身につく本 レベル1&2』(青春出版社)

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