【ブールドロ】
「ブールドロ」は、丸のままのリンゴの実をパイ生地で包んで焼いたフランスの菓子。
16世紀には作られていた記録がある伝統的な菓子である。古くは脱穀作業の季節の?に、近所から持ち寄った材料で作る習慣があった。ノルマンディー地方が本場とされる。
「ブールドロ」というのはノルマンディーでの呼び名であり、語源はフランク語起源のフランス語の古語「bihurder(冗談を言う)」とされる。パリ郊外のベルシュ地方では「ブールデーヌ(私生児)」、オルレアンでは「ガロパン(小僧を指す名詞だが関連性は不明)」、ピカルディ地域圏やアルデンヌ県では「ラポート(オランダ語の古語でウサギ)」、の地方名を持つ。
『作り方』
焼きリンゴと同じようにリンゴの芯を抜いて砂糖とバター、あるいはグロゼイユのジャム、アーモンドのパウダーなどを詰める。リンゴはノルマンディー特産のカルヴィル種を使うのが正統。折り無パイ生地や練りパイ生地で包み、卵黄を塗ってオーブンで焼く。
ラボートの地方名で呼ぶアルデンヌ県では、生地で作った耳やレーズンの目で飾り付けて、ウサギの顔に見立てた形に作って焼くこともある。
【カンノーロ】
「カンノーロ」は、イタリアのペストリー菓子である。「カンノーロ」の発祥地はシチリア島であり、シチリアの菓子の中でも最も有名なものの一つである。「カンノーロ」は現在一年中食べられるが、本来は謝肉祭を祝って作られる季節菓子である。イタリア系アメリカ人のデザートとしも大変人気が高い。
『語源』
「カンノーロ」の意味は「小さな筒」で、ラテン語のカンナ(canna)を語源としている。直訳すると〇〇だが、竹やサトウキビの茎の意味もある。ちなみに、かって「カンノーロ」を円筒状に調理するためにサトウキビの茎が多く利用されていた。現代でも、家庭内で「カンノーロ」を調理する際はサトウキビを利用する人もいるが、公共衛生観念からレストランや菓子店などの商業施設での使用は許可されていない。
『概要』
イタリアの「カンノーロ」は、小麦粉ベースの生地を薄く延ばし、正方形に切ってから金属製の円筒に巻き付けて低温の植物油かラードで筒状に揚げた皮の中に、甘みをつけたリコッタ・チーズにバニラ、チョコレート、ピスタチオ、マルサラ酒(シチリア地方のワイン)、ローズウォーターやその他の風味のうち幾つかを混ぜ合わせたクリームを詰めたものである。
シチリア地方では羊乳製リコッタが使用されるが、その他の地方では牛乳製も使用される。
「カンノーロ」が元々季節菓子だったのも、冬の間羊乳の脂肪分などが増え、コクと旨味が増すからである。菓子職人によっては小さく切った果物の砂糖漬けやズッカータを、クリームに混ぜたり両端を飾ったりする。シチリア地方以外ではリコッタではなくカスタードクリームを使用する菓子職人もいる。
皮の生地には砂糖、塩、重曹、シナモン、卵黄、マルサラ酒、ラードが入り、ココアを混ぜてチョコレート味にすることもある。
「カンノーロ」の大きさは様々で、指よりも細い「カンヌーリッキ」から、シチリア島パレルモの南にビアーナ・デッリ・アルバネージ特産の拳サイズのものまで見受けられる。
クリームを詰めると皮が水分を吸って湿ってしまうため、大きさに関係なく、食べる直前まで待ってから皮にクリームを包めた方が、クリームの柔らかさと皮のパリパリ感の対比を最大限に楽しむことが出来る。