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金城一紀『レヴォリューションNo.3』

2006-07-16 17:03:25 | ノンジャンル
 今日の朝刊に仙台で本格的な高齢者のうつ対策を市内全域で始める、という記事が載っていました。統計では、自殺未遂者の75%にうつ病を中心とする精神疾患がみられるとのこと。自殺対策、待った無しだと思います。

 さて、「SPEED」「GO」が圧倒的に面白かった金城一紀さんの「レヴォリューションNo.3」を読みました。
 第一章で「SPEED」に登場した南方(今回の語り手)、萱野、混血でめちゃカッコイイアギー、精神的リーダーのヒロシ、在日でケンカが滅法強い舜臣(スンシン)、とにかく運に見放されている山下を中心にしたザ・ゾンビーズがいかにして生まれたかが語られ、お嬢さん学校の聖和女学院の学園祭にいかにして侵入し、彼女をゲットしたか、が語られます。第二章では、第一章で死んだヒロシの墓参りのために沖縄に皆でいくための資金が奪われ、犯人の高校生たちからその金を奪い、余分になった金で聖和の子たちも沖縄に招待すると言う話。第三章は、定時に必ずかかってくる無言電話と道端で感じる視線におびえる女子大生を救う話。
 詳しいあらすじなどは「Favorite Novels」の「金城一紀」の項に掲載しておきました。興味のある方、ご覧になってください。オススメです。

永井龍男『回想の芥川・直木賞』

2006-07-15 17:35:50 | ノンジャンル
 奥田英朗さんが好きな永井龍男氏の「回想の芥川・直木賞」を途中まで読みました。永井氏は芥川・直木賞の第一回から関わってこられた人で、その選考の過程を後世に伝えるために書いた本のようでした。
 まず、文芸春秋を作ったのは菊池寛氏だったことを初めて知りました。また芥川・直木賞を始めたのも菊池寛氏だったことも初めて知りました。そして芥川・直木賞が始められるまでの経緯が述べられた後、第一回からの選考委員の選評が次々に掲載されていくのですが、第一回を最後まで読み終わる前に、私は読む気力が萎えてしまいました。
 この本を普通に最初から最後まで読む人っているんでしょうか? 選評、選評の嵐で、知ってる作品が出てくれば、また違うんでしょうが、知らない作品の選評を読んでも面白くも何ともありません。自分が思い入れのある芥川・直木賞を受賞した本がどのように選ばれたのか、を知るにはいいのかもしれません。
 著者自身が書いていますが、記録としてとらえるべき本なのだと思いました。

永井龍男『コチャバンバ行き』

2006-07-14 16:54:18 | ノンジャンル
 昨日三浦しをんさんが「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を受賞されましたが、昨晩ヤフーオークションに出品されていたその本が何と2700円で落札されていました。本屋に行けば1680円で買える本ですよ。今日も新規で出品されていて、既に1700円の値をつけていました。それまでは710~910円で取り引きされていたのに、直木賞恐るべし。そして直木賞ファンの皆さん、頭を冷やしましょう。

 ということで、奥田英朗さんが「港町食堂」の中で読んでいた永井龍男氏の「コチャバンバ行き」を読みました。寿一郎と郁子の老夫婦の日常を描いた小説で、寿一郎はコック帽をかぶって料理を作るのを楽しみにしているケチだが憎めない男で、郁子は着物の訪問販売の達人です。母屋は夏場に会社の部長クラスの家族用に貸して収入を得るという生活をしていて、たまに甥の清が遊びに来たり、新婚夫婦に二階を貸したり、たんたんと毎日が過ぎていきます。先日読んだ内田百間の本と違い、退屈せず、すらすらと読めてしまうのは、やはり何を書き、何を書かないかの選択が違っているからでしょう。内田氏のファンの方もいらっしゃると思いますが、私は明らかに永井派だと思いました。暇な時に読む本としてオススメです。

瀬尾まいこ『強運の持ち主』

2006-07-13 17:29:06 | ノンジャンル
 瀬尾まいこさんの最新作「強運の持ち主」を読みました。
 主人公は短大を出て、事務用品を扱う会社で営業の仕事をしていましたが、上司との折り合いが悪く会社を辞め、求人チラシでたまたま目に止まった「一人でできる仕事だから、わずらわしい人間関係もなし」というキャッチコピーに引かれ、占いの会社(?)に入った主人公が、営業で養った話術をもとに人気となり、ショッッピングセンターの一角のスペースを借りて一人立ちするところから始まります。何度も訪ねてくる男の子、義理の父と仲良くする術を何度も聞きに来る女子高生、人のおしまいが見えてしまうというので、無理矢理アシスタントになってしまう関西系の大学生、アシスタントとして採用したのはいいが、トラブルを次々に起こす子供を持つ独身女性。そして、占ったところあまりの強運なのにびっくりし、一緒に相談に来た女性とむりやり別れさせ、今同棲しているサラリーマンの彼。
 今まで呼んだ瀬尾さんの作品よりもユーモラスで、でも最後はやっぱり良い文章で締める、という、今回も読んで良かったと思える小説でした。
次回作が今から愉しみです。なお、詳細を知りたい方は「Favorite Novels」の「瀬尾まいこ」のところに書いておきましたので、そちらをご覧ください。

瀬尾まいこ「幸せな食卓」

2006-07-12 16:45:57 | ノンジャンル
 今日の朝刊にジューン・アリスンの死が報じられていました。'49年「蘇る熱球」、'54年『グレン・ミラー物語」、'55年「戦略空軍命令」と、明るい妻を演じて、良きアメリカの象徴的な存在でした。享年88歳。御冥福をお祈りいたします。

さて、優香さんの推薦で読んだ瀬尾まいこさんの本「優しい音楽」に続いて「幸福な食卓」('04.11)を読みました。
 真面目で優しい父、以前父が自殺未遂を起こして以来別居中し仕事に打ち込む母、高校まで神童と言われたにもかかわらず大学に興味を持てず、農業に打ち込む長男直、そして語り手の高校生佐和子の四人の家族に、佐和子のボーイフレンド大浦君の五人を軸に展開する物語ですが、「優しい音楽」の時と同じように登場人物が皆善良な人ばかりなのに、そこにドラマが生まれ、様々な喜怒哀楽が生じるという、「瀬尾ワールド」が展開していました。文章が簡潔で無駄が無く、著者が伝えたいものは確実に伝わってくる、読みごたえのある文章で、豊富な内容にも関わらず、あっと言う間に読んでしまいました。詳しくは「Favorite Novels」の「瀬尾まいこ」の項に書きましたので、そちらをご覧ください。オススメです。