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シンシア・カドハタ『草花とよばれた少女』

2006-07-21 16:19:50 | ノンジャンル
 朝日新聞で推奨されていたシンシア・カドカワさんの「草花とよばれた少女」を読みました。
 日系人としてアメリカに生まれ、花農業を営む一家の娘が主人公で、幼い頃に交通事故で両親を亡くし、それ以来叔父の家族とともに暮らして来た彼女は温室ではなく路地栽培された「クサバナ」と呼ばれる花を愛しています。太平洋戦争が始まり、日系人は財産を没収され、収容所に隔離されますが、砂漠地帯の収容所に収容された彼女は、豊富にある土地でクサバナ畑を作り、隣にすむお祖父さんとも親しくなります。戦争も後半を迎えると、日系人にも兵隊の召集がかかり、彼女の兄のような存在だった二人の従兄弟も志願して戦場に向かいます。残った家族にも収容所を出て、より賃金のよい戦時工場で働く家族が出てきて、収容所は崩壊し、彼女も自分の育てたクサバナ畑を捨てて、シカゴへ家族と向かうのでした。
 大平洋戦争時の日系人の扱いというのがいかにひどいものだったか、というのは色々なところで報道されてきましたし、また損害賠償の裁判も多く起こされてきました。しかし、子供の世界では、まだ夢をもてる生活、愉しみのある生活を送ることができた、ということがこの本によって分かります。読みやすい本です。ぜひ一読されることをオススメします。

パフィの日比谷野音

2006-07-20 17:04:16 | ノンジャンル
 今日の夕刊に載ってましたが、昭和天皇はA級戦犯が合祀されてからは、一切靖国神社に参拝しなかったそうです。小泉、安倍、聞いてっか? 自分たちの愚かさを知れ!

 と一転話題は変って、先日深夜にNHKのBS2で放送したパフィの10周年記念コンサート・イン・日比谷野音の録画を見ました。当日はかなり強い雨が降っていましたが、会場は満員。「今までパフィについてきて、良かった」と言う観客もいて、ちょっと不思議モード。構成はライブに、デビュー当時の思い出やこれからのことを語るインタビューがはさまる形で進んで行きました。私は「パパパパパフィー」以来、亜美のファンで、グレイのボーカルと結婚した時にはショックでしたが、このライブではマスカラを濃く塗り過ぎで魔法使いのようでした。私の好きな「MOTHER」や「愛のしるし」は流れず、かろうじて昔カラオケで数え切れない程歌った「渚にまつわるエトセトラ」を聞けたのが良かったでした。亜美は相変わらず美しいのですが、由美も彼氏ができて、何か若返ったような気がします。ということで、パフィを満喫した一日でした。


永井龍男『一個その他』

2006-07-19 16:30:08 | ノンジャンル
 奥田英朗さんが好きな永井龍男氏の「一個その他」を読みました。12編の短編が収められている本で、内容的に関連があるのは最初の2編「私の眼」と「快晴」だけで、他はすべて異なる内容でした。
 「私の眼」は、私が葬式の香典に靴ベラを持って来て、靴をはいて死者が家を脱出すると思っているという話。「快晴」は、そのことの噂話をして、葬式の男が死んだ後、本妻と2号の間で財産問題がもめるだろう、と噂する話。
 残りの短編の題名だけ書いておくと「枯芝」「灯」「秋扇」「名刺」「電車を降りて」「蜜柑」「塵埃」「電報」「丸の内小景」「一個」です。本の題名になっている「一個」は、寝台列車の中でみた赤ん坊が天使だと思い、向かいの男に声をかけると、二人の間で雑談が始まり、その後、就職の世話を頼みに人を訪ね、家に帰ると気になる柱時計の音を止める、という何と言うこともない話。他の短編も普通の日常を書いたものですが、とても読みやすくまた、淡々と読める作品ばかりでした。
 暇つぶしに読むには最適な本なのでは、ないでしょうか?(そういえば、奥田英朗氏も退屈しのぎに彼の本を読んでいましたっけ。)

笙野頼子『水晶内制度』

2006-07-18 16:11:01 | ノンジャンル
 きのうの「コンバット」にゲストでリー・マーヴィンが出ていました。サンダース軍曹の小隊が護衛する爆破専門家の役で、小隊がふがいないと文句ばかり言いますが、最後に軍曹のことを「最高の兵士だ」と讃えるという、おいしい役でした。

 さて、朝日新聞で薦めていたため、笙野頼子さんの「水晶内制度」を読みました。
 最初の50ページ前後は、主人公の意識が混濁しているため、文章も訳が分からず、ただ読むだけの状態。その後、意識が戻り、相手が誰とも分からず話はじめるのですが、延々とウラミズモという、日本から独立した女性だけの国の話が続き、これも話題が急に飛んだり、話の内容が難しかったりで、ただ文字を追うだけで精一杯。とうとう途中で読むことに挫折してしまいました。
 この本、買う人いるんだろうか?(って、買ってる人がここに一人いますが‥‥。)こういう文章が本になり、評価されていることが不思議に思われる、そんな本でした。

金城一紀『フライ、ダディ、フライ』

2006-07-17 15:56:34 | ノンジャンル
 昨日に引き続き、金城一紀さんの「フライ、ダディ、フライ」を読みました。今回の語り手は聖和女子学院の生徒を娘に持つお父さんです。
 娘の幸せが自分の夢である彼は、娘が暴力をふるわれ、心にも傷を持ってしまったことに怒り、暴力をふるった高校生を殺すべく、彼の高校へ向かいます。が、彼は高校を間違えてしまい、不良集団のザ・ゾンビーズと知り合うことになります。彼の復讐を助けるため、ザ・ゾンビーズは手助けすることになり、彼はとりあえず素手で復讐相手のボクシング高校チャンピオンを倒すため、朴舜臣のもと、肉体改造そして精神改造に着手します。話の大部分はお父さんと舜臣のトレーニングの話で、そう言った点では他のザ・ゾンビーズものよりも単純な構造になっています。が、やはりそこは金城作品、人生論、精神論が主に舜臣によって語られ、山下の運の無さが笑わせてくれます。そしてラストのカタルシス。
 これも「Favorite Novels」の「金城一紀」の項に詳しいあらすじなどを載せましたので、興味のある方ご覧ください。この本も、オススメの一冊です。