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永井龍男『一個その他』

2006-07-19 16:30:08 | ノンジャンル
 奥田英朗さんが好きな永井龍男氏の「一個その他」を読みました。12編の短編が収められている本で、内容的に関連があるのは最初の2編「私の眼」と「快晴」だけで、他はすべて異なる内容でした。
 「私の眼」は、私が葬式の香典に靴ベラを持って来て、靴をはいて死者が家を脱出すると思っているという話。「快晴」は、そのことの噂話をして、葬式の男が死んだ後、本妻と2号の間で財産問題がもめるだろう、と噂する話。
 残りの短編の題名だけ書いておくと「枯芝」「灯」「秋扇」「名刺」「電車を降りて」「蜜柑」「塵埃」「電報」「丸の内小景」「一個」です。本の題名になっている「一個」は、寝台列車の中でみた赤ん坊が天使だと思い、向かいの男に声をかけると、二人の間で雑談が始まり、その後、就職の世話を頼みに人を訪ね、家に帰ると気になる柱時計の音を止める、という何と言うこともない話。他の短編も普通の日常を書いたものですが、とても読みやすくまた、淡々と読める作品ばかりでした。
 暇つぶしに読むには最適な本なのでは、ないでしょうか?(そういえば、奥田英朗氏も退屈しのぎに彼の本を読んでいましたっけ。)