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エリック・ロメール監督『獅子座』

2021-10-26 06:50:00 | ノンジャンル
 昨日、「あつぎのえいがかんkiki」で、エリック・ロメール監督・脚本の1959年作品『獅子座』を再見しました。
 サイト「movie walker press」のあらすじに一部加筆修正させていただくと、
「6月22日…自称作曲家ピエール(ジェス・ハーン)のもとに一通の電報が届く。伯母が死に、その莫大な遺産が彼と従兄に遺されたというのだ。突然の吉報に有頂天になったピエールは、さっそくパリ・マッチ誌で働くジャン・フランソワ(ヴァン・ドード)を呼び出して金を借り、仲間を呼び集めて派手にパーティを楽しむ。
 7月13日…友人たちの多くはヴァカンスに出かけてしまった。しかし、ピエールはアパルトマンから追い立てられ、小さなホテルに身をおいていた。伯母の遺産は遺言で全額従兄の手に渡ってしまったのだ。ホテル代さえなく、頼みの綱のジャン・フランソワも出張中で何度電話してもつかまらない。
 7月30日…セーヌ河畔の古本屋で本を売り、パンとアンチョビを買うピエール。パンをナイフで切ろうとしたところ、手が滑って、ズボンを切り、出血までして、ズボンを汚してしまう。ズボンの汚れをとるため、薬局でベンジンを買うが、あまり役には立たない。
 やがてホテルも追い出された彼はついに路上生活者になる。無精ひげが生え、衣類は汚くなり、汗でにじむシャツ。一日中真夏のパリの街を歩き回り、気がつくと、路上で寝ている。(この街を歩くシーンでは、一瞬だが本物の行き倒れの死体らしきものが映る。)そのうち偶然友人に会い、仕事、それもかなりやばい仕事を紹介されるが、ようやくたどり着いた郊外の家に元締めは留守。仕事先への切符も落として失くしてしまい、万事休す。金もなく歩いてセーヌ河畔まで戻ったピエールだが、市場で万引きをしようとして、店主にこっぴどく殴られる。ピエールに同情する群衆から、逃げ出すピエール。
 彼は、路上を歩いている間に、右の靴の先をひっかけ、靴の先が裂けてしまう。そこを紐で縛り、歩くピエール。セーヌ河に浮かんでいたビニール袋の食品を、石をぶつけて必死になって拾うも、中身は既に腐っていた。呆然とする彼に声をかけてくれたのは一人のルンペン(ジャン・ル・プーラン)だった。ピエールは彼について、カフェでパフォーマンスの相手を務めることになる。
 8月22日…ヴァカンスの季節も終わり、ジャン・フランソワも出張から戻って来た。ピエールの身を案じる彼は友人たちに居場所を尋ねるが誰もが無関心。彼はピエールのアパートを訪ねると、ピエール宛ての手紙の中に公証人からの手紙が混ざっていることに気付く。それはピエールの叔母のいとこが死に、叔母の全財産をピエールが継ぐことになったことを知らせる手紙だった。そしてしばらくして、その事実が新聞に載る。しかしなかなか発見されないピエール。
 ある夜、彼は昔行きつけだったカフェの前で寸劇を演じるが、自分たちを馬鹿にして小銭を投げる客たちにうんざりし、寸劇を途中で止めてしまう。そしてヴァイオリン弾きからヴァイオリンを借りると、自分で作曲した現代曲風のメロディを一通り弾き、それが終わると、ヴァイオリン弾きにヴァイオリンを返し、その場から立ち去る。路上に崩れ落ち、石壁に拳を叩きつけ、「薄汚れたパリめ! どいつもこいつも猥雑でどうしようもない!」と罵声を上げ始めるピエール。それを遠巻きに見る群衆。そこにたまたま行き当たったジャン・フランソワと彼の彼女は、その浮浪者がピエールであることを見抜き、彼の許へ駆け寄ると、遺産の件を彼に伝える。正気に戻ったピエールは歓喜の声を上げ、ジャンの運転するオープンカーの後部座席に中腰で座ると、周囲に「皆、飲みに来い! 今夜は盛大なパーティーだ!」と叫んで、その場を去る。一人残されたルンペンは「自分だって、必ずパーティーに呼ばれるはずだ」と一人ごちるのだった。

 ピエールの落ちぶれていく様子が、これでもかこれでもかという具合にドキュメンタルに描かれ、予想は出来ていたものの、その突然のハッピーエンドぶりに、つい号泣してしまいました(^^;)。
 この映画の公開は1959年であり、この年はゴダールが『勝手にしやがれ』を発表し、ヌーヴェルヴァーグの夜明けの年となっているので、私に言わせれば、ヌーヴェルヴァーグの旗手はゴダールでもあり、同年に『大人は判ってくれない』を発表したフランソワ・トリュフォーでもあり、エリック・ロメールでもあったということになると思いました。
 最後に、冒頭のパーティーでは、レコードの同じ部分を繰り返し聞く男の役としてゴダールが出演し、ピエールがホテル代を支払わないので、警察を呼ぶと脅すホテルのオーナー役の女性で、クロード・シャブロルの妻、ステファーヌ・オードランが出演していたことも付け加えておきたいと思います。