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斎藤美奈子さんのコラム・その82&前川喜平さんのコラム・その43

2021-05-06 06:06:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず4月28日に掲載された「グレそう」と題された斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「三度目の緊急事態宣言が発出された東京や大阪はブラック校則に縛られた学校に似ている。
◆要求しかしない教師
 「不要不急の外出は控えて」「マスク着用の徹底」「イベントや部活は自粛」「学食は休業か時短」「禁を破った場合は罰則も検討」。学校側は生徒に要求しかしない。
 だが、ご自分たちはワクチンの確保もできず、検査態勢を整えることもできず、生徒に禁じた会食もし放題。「警戒が必要」式の無能な校長の説教はもう聞き飽きた。
◆体育祭は開催
 そうである一方、学校側は学外から選手を招いて行う予定の体育祭に執念を燃やしているのであるl「もうやめようよ」「せめて延期だよ」という生徒の声が七割を占めても聞く耳持たず。体育祭運営班は先日、大会期間中、看護師五百人を確保するよう看護協会に求めすらした。保健室はもう手いっぱいなのに。
◆やる気を失った生徒
 パチンコ店、夜の街、接待を伴う飲食店。この一年、さまざまな業種がスケープゴートにされてきた。旅行を推奨したかと思えば、てのひらを返したように県をまたぐなと迫られた。その上、気の緩みだ。コロナ慣れだと叱責(しっせき)された。人出が減らないっていうけどさ、変異株を校内に流入させたのは誰のせい?
 感染症による死者はついに一万人を超えた。私たちはもうグレそうである。」

 また、5月5日に掲載された「時評欄の男女比」と題された斎藤さんのコラム。
「四月から執筆者が交代し、朝日新聞は文芸時評と論壇時評の書き手がともに女性になった。文芸は翻訳家・文芸評論家の鴻巣友季子さん、論壇はメディア・ジャーナリズム研究者で東大教授の林香里さん。文芸時評は、1982年に作家の河野多恵子さんが初の女性執筆者になって以来、鴻巣さんで女性は五人目。林さんは、歴代初の女性論壇時評執筆者だそうだ。
 他紙はというと、98~2003年に記者の尾崎真理子さんが読売新聞で、06~07年に作家の中沢けいさんが産経新聞で、それぞれ文芸系の時評を担当しただけ。新聞の時評欄はいまも男性偏重社会なのだ。
 その点、創作の世界はもう少し進んでいる。一月の芥川賞は宇佐見りんさん、直木賞は西條奈加さんだが、両賞ともに女性なのは珍しくないので特に話題にもならない。
 だが96年、川上弘美さんが芥川賞を、乃南アサさんが直木賞を受賞した際には両賞をはじめて女性が独占したことで「男はだらしない」式のことをいう人もいた。
 今日の女性作家の活躍は、文学賞選考委員の男女比と無関係ではないだろう。現在、芥川賞選考委員は九人中三人、直木賞選考委員は九人中六人が女性である。バイデン政権で上下両院議長が女性になったことをグッドニュースと報じるならば自らの足元も見た方がよい。次に続く新聞はどこ?」

 そして、5月2日に掲載された「数学Ⅰ」と題された前川さんのコラム。
「来春から使用される東京書籍版の高校「数学Ⅰ」の教科書には、二桁の足し算・引き算や九九が含まれている。義務教育の学び直しが必要な生徒のためだ。数学Ⅰは全高校生の必履修科目で、その内容は集合、三角比、二次関数などだが、算数でつまずいた生徒が修得するのは不可能だ。
 内閣府の2011年の調査では、高校中退者の48.6%が「勉強がわからなかった」ことを中退の理由としていた。
 文科省の2019年の調査では、高校中退者のうち、一年生が49.7%を占めていた。
 国立教育政策研究所の2017年の調査では、「授業がよくわかる」という度合いが、中退者の場合、高一の四月から十一月までの間に大きく落ち込んでいた。
 2019年度、全国の全日制普通科高校の96.4%が、数学Ⅰを一年次に開設していた。
 ベネッセの研究所の2012年の調査では、高一の苦手教科の一位は数学だった(45.9%)。
 数学Ⅰが高校中退の大きな原因なのだ。これを必履修からはずせば中退は飛躍的に減少するだろう。正弦定理を全員が学ぶ必要はない。
 東京書籍の教科書で学ぶ生徒は、きっと数学への自信を取り戻すだろう。生徒たちに「わかる喜び」を与えられるなら、義務教育の学び直しだけで全授業時間を使ってもいいではないか。」

 どれも一読に当たる、素晴らしい文章でした。

 →サイト「Nature Life」(表紙が重いので、最初に開く際には表示されるまで少し時間がかかるかもしれません(^^;))(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto