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黒沢清監督『リアル~完全なる首長竜の日~』その2

2014-06-09 11:17:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 3回目のサイジング。アツミは「今日は調子がいい」と言いますが、高木が連載の番外編を描くと聞くと怒り出し、「連載が続けられるようにアイデアを書きためてるのよ。マンガを私から取り上げないで。でも覚悟はしていた。このままずっと目が覚めないのね」と言います。「俺がそんな風にさせない」「でも今日は順調だった。この原稿を見たら高木君も見直すはず」。そこへ高木と編集長のフィロソフィカル・ゾンビが入ってきます。アツミは編集長に「どうして高木君に描かせたの? 他人のマネをしないように高木君に言ってたのに。こういうのもデッサンしたのよ」と言い、拳銃を手にして「あなたたちにマンガが分かるはずがない」と言って2人を射殺し、コーイチに迫ると、コーイチの手の甲に丸を描き「これが私。忘れないで」と言い、コーイチはサイジングから目覚めます。しかし手の甲には何も描かれていません。
 編集長「番外編、好評だよ。高木君に第2弾も描いてもらうつもりだ。新連載の話もある」。コーイチは編集長と高木を拳銃で撃ちますが、2人は一旦振り向くだけで、また自分たちの話を始めます。
 夜、テーブルの上にハエの山ができています。コーイチは手の甲の丸い印を洗面台で洗い落とそうとしますが、少年が現れます。携帯が鳴り、医師の相原が「アツミさんがサイジングを望んでいます」と言います。コーイチがサイジングを始めると、アツミが部屋で倒れています。部屋は水浸しでした。「君の意識の中だ」「部屋に戻りたくない。外に出たい。マンガを描いてない自分を思い出せない」「外に出よう」。2人は霧の中を進んで行きます。「この先に何があるの?」「分からない」。道路を歩むフィロソフィカル・ゾンビ。「この先は私の無意識」「ここが限界だ」「私、行ってみる」。2人は草原に出ます。「ここは15年前の飛古根島よ。懐かしいわ。ここが私の家」。家の前には“リゾート開発反対”の看板があります。コーイチが家に入ると中はもぬけの空です。動いているブリキのおもちゃを拾うと、アツミの家族が食卓に付きます。アツミは家族をコーイチに紹介しようとしますが、家族はフィロソフィカル・ゾンビで、コーイチは「これは現実じゃない。行こう」とアツミを連れ出すと、2人は磯の海岸に出ます。「私、覚えてる」と言って絶叫するアツミが指差すと、海中に赤い旗とともに少年がいます。そこでサイジングは中断され、アツミにショック症状が出たとコーイチは知らされます。脳波が乱れていると言う医師。
 スカッシュ場に倒れているコーイチ。医師はアツミの容態が安定したと言い、コーイチがサイジングであったことを語り、「島に戻るべきですか?」と言うと、医師は「したいのなら」と答えます。
 飛古根島へ行くコーイチ。アツミの家はもぬけの空で、路上で会ったアツミの父に「久しぶりに島に戻りたくなって」と言い、アツミの父の引くリヤカーを押すと、父はリゾートの廃墟へと行きます。「こんなになっていたなんて」「薄々感じていたはずだ。しかし俺だって見て見ぬふりをしていたから同罪だ。だからまだ島に残ってる。お前達は逃げ出した」「父は過労死で死にました」「天罰だ」「父も会社の犠牲者です」「じゃあ誰がこの責任を取る?」。
 コーイチが喫茶店にいると、少女が逃げ出します。コーイチが追うと、少女は海の中へ入ろうとします。「アツミ? それに近づいちゃダメだ」。海中から少年が現れます。気づくと赤い旗だけになっています。
 警察署で15年前の事件か事故について尋ねるコーイチ。警官は捜索願が1件あるとだけ言って去ります。
 森の中の廃墟の家の中でスケッチブックをコーイチは見つけますが、絵は消えてしまっています。そのことを相原に報告するコーイチ。サイジングで飛古根島のアツミにもコーイチは報告します。コーイチは「15年前のあの場所なら見つかるはず」と言い、2人で森の中の廃墟の家へ行き、真新しいスケッチブックを手にしますが、中は白紙のままでした。「そんなはずない」「コーイチ、もういいよ。私が見てたのはもう終わった」「これで戻れるんだよね」。アツミの顔が黒じみ出します。そして体も消えて行きます。絶叫するコーイチ。サイジングが終わります。コーイチが目覚めると、相原らはフィロソフィカル・ゾンビになっています。(また明日へ続きます‥‥)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto