百田尚樹さんの'09年作品「風の中のマリア」を読みました。
オオスズメバチのハンターであるマリアは地中の巣の中にいる幼虫たちに餌である肉団子を運ぶため、虫たちを一日中殺してまわっています。その能力は、一日に百キロ以上も飛び、十数時間にも及ぶ狩りに耐える体力を持ち合わせるものです。オオスズメバチの巣はすべてメスで、一匹の女王バチがひたすら産卵し、それ以外のワーカーと呼ばれるハチの中で、特に攻撃能力に優れたものがハンターとなり、それ以外のワーカーは巣作りや幼虫の排泄物の排除、巣穴の警戒に当たります。マリアはある日、オスのオオスズメバチと会い、彼から女王バチが死ぬとワーカーも産卵を始め、ワーカーが産む卵はすべてオスになることを教えてもらいます。マリアの巣の女王バチはそれまではワーカーの卵しか産まなかったのが、ある時から新しい女王バチになる卵を産み始めるようになります。女王バチに育つ幼虫はワーカーになる幼虫よりも多くの栄養を必要とするため、これまでのようにハンターが単独で狩りをするのでは追い付かず、集団で他の虫の巣を襲うことになります。セイヨウミツバチの巣を襲うことに成功しますが、マリアはその時に初めて目の前で仲間が死んでいく様子を見ます。ニホンミツバチの巣も襲おうとしますが、彼らは集団でマリアの仲間の体を取り巻き熱死させてしまい、マリアは逃げ出します。別の種類のスズメバチの巣を攻略して幼虫への栄養を確保しますが、この頃になって女王バチはオスになる卵を産み出します。これは無精卵であり、女王バチが単独で産卵するよりも、それに代わってワーカーが産卵するほうが自分たちの持つ遺伝情報を子孫に多く伝えられることから、マリアらは女王バチを殺し、彼女に代わってワーカーたちがオスの卵を産卵し始めます。季節は秋になって狩りの対象が減り、しかも新しい女王バチになる幼虫が多くの栄養を求めるため、マリアらはキイロスズメバチの巣を攻撃することを決意します。キイロスズメバチは攻撃性が高く、また巣も巨大でワーカーの数はマリアらのハンターの10倍を数えました。2日間に及ぶ攻防の末、マリアらは巣の攻略に成功しますが、多くの仲間を失います。そしてマリアの巣からは初めてオスが巣立ち、他の巣の新しい女王バチを求めて旅立ちます。それからしばらくして新しい女王バチらも巣立ちますが、他の巣からやってきたオスたちが群がり、マリアらは本当に強いオスを残すために彼らと戦います。そしてマリアに致命傷を与えたオスがマリアの後輩と交尾して死に、マリアは最後に空高々と飛び立ちハンターとしての一生を真っ当するのでした。
「永遠の0」、「ボックス!」と素晴らしい人間小説を書いてきた百田さんがなぜ虫を主人公にした小説を書いたのか疑問です。感情を持たない虫を擬人化することは、いかに小説描写が優れた百田さんにしても、無理があったのではないかと思います。それでも最後まで読むことができたのは百田さんの筆力のおかげでしょう。スズメバチの生態に興味のある方にはオススメです。
オオスズメバチのハンターであるマリアは地中の巣の中にいる幼虫たちに餌である肉団子を運ぶため、虫たちを一日中殺してまわっています。その能力は、一日に百キロ以上も飛び、十数時間にも及ぶ狩りに耐える体力を持ち合わせるものです。オオスズメバチの巣はすべてメスで、一匹の女王バチがひたすら産卵し、それ以外のワーカーと呼ばれるハチの中で、特に攻撃能力に優れたものがハンターとなり、それ以外のワーカーは巣作りや幼虫の排泄物の排除、巣穴の警戒に当たります。マリアはある日、オスのオオスズメバチと会い、彼から女王バチが死ぬとワーカーも産卵を始め、ワーカーが産む卵はすべてオスになることを教えてもらいます。マリアの巣の女王バチはそれまではワーカーの卵しか産まなかったのが、ある時から新しい女王バチになる卵を産み始めるようになります。女王バチに育つ幼虫はワーカーになる幼虫よりも多くの栄養を必要とするため、これまでのようにハンターが単独で狩りをするのでは追い付かず、集団で他の虫の巣を襲うことになります。セイヨウミツバチの巣を襲うことに成功しますが、マリアはその時に初めて目の前で仲間が死んでいく様子を見ます。ニホンミツバチの巣も襲おうとしますが、彼らは集団でマリアの仲間の体を取り巻き熱死させてしまい、マリアは逃げ出します。別の種類のスズメバチの巣を攻略して幼虫への栄養を確保しますが、この頃になって女王バチはオスになる卵を産み出します。これは無精卵であり、女王バチが単独で産卵するよりも、それに代わってワーカーが産卵するほうが自分たちの持つ遺伝情報を子孫に多く伝えられることから、マリアらは女王バチを殺し、彼女に代わってワーカーたちがオスの卵を産卵し始めます。季節は秋になって狩りの対象が減り、しかも新しい女王バチになる幼虫が多くの栄養を求めるため、マリアらはキイロスズメバチの巣を攻撃することを決意します。キイロスズメバチは攻撃性が高く、また巣も巨大でワーカーの数はマリアらのハンターの10倍を数えました。2日間に及ぶ攻防の末、マリアらは巣の攻略に成功しますが、多くの仲間を失います。そしてマリアの巣からは初めてオスが巣立ち、他の巣の新しい女王バチを求めて旅立ちます。それからしばらくして新しい女王バチらも巣立ちますが、他の巣からやってきたオスたちが群がり、マリアらは本当に強いオスを残すために彼らと戦います。そしてマリアに致命傷を与えたオスがマリアの後輩と交尾して死に、マリアは最後に空高々と飛び立ちハンターとしての一生を真っ当するのでした。
「永遠の0」、「ボックス!」と素晴らしい人間小説を書いてきた百田さんがなぜ虫を主人公にした小説を書いたのか疑問です。感情を持たない虫を擬人化することは、いかに小説描写が優れた百田さんにしても、無理があったのではないかと思います。それでも最後まで読むことができたのは百田さんの筆力のおかげでしょう。スズメバチの生態に興味のある方にはオススメです。