マリオ・バーヴァ監督『白い肌に狂う鞭』

　黒沢清さんと手塚真さんが本「恐怖の対談」の中で言及していた、マリオ・バーヴァ監督の'63年作品「白い肌に狂う鞭」をDVDで見ました。
　砂浜を馬で駈けて行く男のシルエット。病気の侯爵、その息子クリスチャンと妻のネヴァンカ、クリスチャンの従妹カーチャ、召使いのジョルジアとロサートが暮らす海に面した城に、侯爵の長男クルト（クリストファー・リー）が帰ってきます。彼はジョルジアの娘ターニャを誘惑して短剣で自殺させたことで、ジョルジアの恨みを買っていて、他の家族からも疎まれています。クルトの元婚約者だったネヴァンカが１人で浜にいると、クルトがやってきて昔のように彼女を鞭で打ち、彼女は喜びに浸ります。夜になっても帰ってこないネヴァンカを心配したクリスチャンらは彼女を探しに行き、気を失って倒れている彼女を見つけます。ちょうどその頃自室にいたクルトは突然巻き付いてきたカーテンに動きを封じられ、ターニャの短剣で首を刺されて死にます。彼の死体を礼拝堂の地下の墓地に埋葬した夜、ネヴァンカは彼の亡霊の訪問を受け、窓からはつる草が鞭となって部屋を打ち付けます。彼女は足音に誘われて階下に行くと、そこではクリスチャンとカーチャが愛を囁き合っていました。再びクルトが現れると、ネヴァンカを鞭打ち、復讐のために皆の命を奪うと誓います。やがて侯爵がターニャの短剣で首を突かれて死んでいるのが発見され、ネヴァンカは行方不明になります。クリスチャンらはクルトの墓の中でネヴァンカを発見し、念のため柩の中のクルトの腐敗した死体を焼きます。そこに現れた人影を追ったクリスチャンは、ネヴァンカが自分の首を短剣で刺そうとしているのを発見し、これまでのことは全て彼女の幻想のなせる業であったことを知るのでした。
　漆黒の黒を特徴とするテクニカラーの撮影が美しく、テーマ曲も良かったのですが、クリスロファー・リーの顔以外にあまり怖い部分はありませんでした。ゴシックホラーの好きな方にはオススメかもしれません。