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森深紅『ラヴィン・ザ・キューブ』

2010-02-26 15:29:00 | ノンジャンル
 朝日新聞の特集記事「深いテーマ 忘れえぬ一冊」の中で挙げられていた、森深紅さんの'09年作品「ラヴィン・ザ・キューブ」を読みました。
 大手ロボット会社のプロジェクトリーダーとして働く28歳の女性・依奈は、ある日会社の創業者である会長に呼ばれ、新たなプロジェクトに参加することを命じられます。そのプロジェクトとは、アメリカの会社と共同で短期間の間に最先端の女性アンドロイドを開発するもので、その開発中は依奈と外部との連絡は一切遮断され、プログラムは極秘扱いでした。自社からはカスタムメイドの開発を専門とする特装と呼ばれる部門が参加することになりますが、そこでは通常の開発チームであれば数十人の規模でやる仕事を、天才的な開発者である一方、一切会社の規定には従わず自分の開発したアンドロイドのアリーに管理のすべてを依存している室長の佐原と、肉体的刺激を嫌うあまりに毛布を頭から被って仕事をしている孫、そしてヤンの3人だけで仕事を進めていました。今回のプロジェクトでは情報漏洩を防ぐため、情報伝達機能を持つアリーが使えないため、その代わりとして依奈が抜擢されたのでした。殺人的にハードな仕事が続き、神経を病むなどして脱落者が続く中、最先端の女性アンドロイドは完成しますが、それは敵を誘惑して敵がセックスをしかけた時に爆発するという兵器であり、米軍ユダヤ財閥の資金によって米軍に提供されることが依奈らに明らかにされます。依奈は無力感に捕われますが、佐原の心が自分に対して少し開かれているにの気付くのでした。
 ロボット開発の話だけに、部品の品番の管理とかの話が多く、かなり退屈しました。登場人物にもリアリティが感じられず、幻想は愛しいとか、教理問答のような様々な言説にもついていけませんでした。それでも最後まで読み進めることができたのは、筆者の筆力のおかげなのかもしれません。企業小説が好きな方にはオススメかも。