gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

スティーヴン・キング『夕暮れをすぎて』

2009-12-26 14:12:00 | ノンジャンル
 スティーヴン・キングの'08年に刊行された短編集「夕暮れをすぎて」を読みました。
 「ウィラ」は、列車が脱線したために他の乗客とともに駅舎で待っていた若いカップルが、町の酒場で鏡に写らない自分たちを発見して自分たちが死んでいることを知り、駅舎に戻ってそこが壊される前に他の乗客に移動するように説得しますが聞き入れられず、二人だけで町の酒場に移り住むことを決意する話。
 「ジンジャーブレッド・ガール」は、娘を突然死で亡くし、心の傷をランニングで癒すことで夫とケンカするようになり、島にある父の別荘に1人で住み始めた女性が、殺人鬼に監禁され、走る能力を生かして脱出し、殺人鬼を撃退する話。
 「ハーヴィーの夢」は、娘が交通事故で死ぬという夫の夢の話を聞きながら、それが現実であることが分かっていくという話。
 「パーキングエリア」は、深夜の無人のパーキングエリアで女性に暴力を振るっている男を止めるために、小説家の人格になり、自分が暴力衝動に襲われてしまう話。
 「エアロバイク」は、検診でコレステロール値が高すぎると医師に脅され、エアロバイクに夢中になり、みるみる数字が改善しますが、自分が描いた絵の中の人々に行き過ぎは止めろと警告され、バイクを壊される話。
 「彼らが残したもの」は、ある日自宅に戻ると、9・11で死んだ同僚たちの持ち物が忽然と部屋に現れていて、捨てても人にあげても戻ってくるので、遺族に届けに行くことを決意する話。
 「卒業の午後」は、ニューヨークに核爆弾が落とされたのを目撃した、卒業したばかりの高校生とその家族たちの話です。
 どれもそれなりに楽しめ、背景の説明も小出しにしていく辺りが凡百の作家とは違うと思いましたが、一番面白かったのは中編の「ジンジャーブレッド・ガール」でした。やはりキングは長ければ長いほどいいと思います。そして何よりすごいと思ったのが、翻訳陣。池田真紀子、深町眞理子、風間賢二、白石朗ら、キングの翻訳者勢ぞろいといった感じでオールスターキャストでした。キング・ファンだけでなく、小説一般が好きな方にもオススメです。