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瀬尾まいこ他『Teen Age』

2006-09-24 16:10:05 | ノンジャンル
 角田光代、瀬尾まいこ、藤野千夜、椰月美智子、野中ともそ、島本理生、川上弘美がそれぞれ一編ずつ短編を提供してできた本「Teen Age」を読みました。一番面白かったのは、やはり瀬尾まいこさんの「狐フェスティバル」でした。
 ある田舎の町。その町には狐がえりという祭りがあって、子供たちがマントをひるがえして、家々の前で踊り、その踊りの優劣を競うのでした。川居のチームは幼い男女のサナオとミヤコと自分だけしかいないので、最近東京から引っ越してきた三崎という女の子に参加してくれるよう頼みますが、拒否されます。サナオとミヤコに応援され、再三三崎の家を訪れるがダメなので、アユを捕ってそれで気を引こうとしますが、逆に気持ち悪がられて追い出されてしまいます。しかし、それがきっかけで三崎は狐がえりに参加する気になり、元ダンス部の彼女はリズム感を強調した今までに無い踊りを創作し、本番でその踊りは人気を博したのでした。そして親しくなった三崎と川居は、サナオとミヤコと一緒に伝統の踊りをしなかったことのお祓いに川へ泳ぎに行くのでした。
 主人公の川居のいかにも田舎にいそうな素直な性格が好感がもて、幼い二人と転校生の間に板挟みになりながらも何とか局面を打開しようとする彼を応援しながら読んでいました。三崎も親の自然志向で突然田舎に連れてこられた都会の子の魅力が出ていたように思います。人物の設定が面白く、それもこの短編を高く評価することになったのだと思いました。
 瀬尾さん以外では、藤野千夜さんの「春休みの乱」、椰月美智子さんの「イモリのしっぽ」、島本理生さんの「Inside」が面白かったです。このような短編集は、今まで読んだことのなかった作家さんの作品に触れられるので、そこがいいと思いました。皆読みやすい作品ばかりだったので、女性の最近の作家に疎い方にはオススメです。