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「ダビデの星」の誤解

2016-12-25 19:12:43 | その他
 イスラエル国旗は、星形の標章と二本の筋からなっています。その星形は日本で「六芒星」と呼ばれる星の形と輪郭が同じであるため、日本人はみな「星」であると思い込んでいます。英語では「ダビデの星」とも呼ばれているので、それも無理はありません。

 しかし本当は星ではなく、盾なのです。私は50年前、イスラエルに長い間住んでいたことがあり、今はもう忘れかけていますが、その頃は少しはイスラエルの国語であるヘブライ語を話せました。ですからその星のことについては、少々体験的に知っています。イスラエルではその星形のことを「マゲン・ダヴィッド」というのですが、「マゲン」とは盾を意味するのであって、決して星ではありません。「ダヴィッド」とは、紀元前1000年~ 前961年頃に在位した古代イスラエルの王で、聖書の「詩篇」の大部分は彼の詩歌であるとされ、日本語訳聖書では「ダビデ」と音訳されています。今日はたまたまクリスマスですが、救世主(メシア)は必ずダビデの子孫から生まれると信じられ、ユダヤ人は現在でも古代イスラエルの王の中で最も偉大な王と思っています。

 イスラエルの救急車には、赤十字の赤い十字架ではなく、赤いダビデの盾が描かれていて、「赤いダビデの盾」という意味の言葉が、ヘブライ語で書かれています。赤十字はキリスト教に基づいていますから、イスラエルでは受け入れられないのです。ちなみにイスラム教国の救急車には、赤い三日月が描かれ、日本語では「赤新月」と表現されています。

 ネット情報では、この星形が盾であることに気が付いているものもありましたが、ダビデの持っていた盾だと勘違いしているようです。この理解も正しくはありません。ダビデは幾度も殺されそうな危機を乗り越えるのですが、そのことを「詩篇」の中で、「神こそ・・・・寄り頼む者の盾である」(詩篇18篇30節)と神を賛美しています。「ダビデの盾」と言う時に、ユダヤ教徒は「神はダビデを守護した盾」であったと思うのです。「ダビデは星形の盾を持っていた」などとは思いませんし、まして「ダビデの星」などとは決して思いません。ユダヤ教徒にとって「盾」とは、「神の守護」の象徴にほかならないのです。日本では一般に「ダビデの星」と呼ばれ、そのように解説する国旗についての書物がたくさんあります。しかしそれは聖書に記されたダビデと盾の関係を知らないことによる誤解で、本来は「ダビデを守護した神の盾」なのです。

 ダビデの盾をダビデの星と誤解し、陰陽道などの呪術的なものに絡めて、何やら得体の知れない解釈が横行していることが残念でなりません。六芒星についての解釈ならばそれもいいかもしれませんが、しつこいようですがイスラエルの国旗の星型は六芒星ではありません。聖書の詩編でダビデが神の守護を盾に譬えていることや、ヘブライ語で「ダビデの盾」と呼んでいることを知らないから、このようなことになってしまうのでしょう。
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