『私の名前はスージー・サーモン、お魚みたいな名前でしょ』
愛らしい14歳のスージー・サーモン、お誕生日にはカメラを貰って、将来の夢はカメラマン。学校でひとつ年上のレイに片思い中。弟と妹がひとりずついて、パパの趣味はビンの中に帆船を作ること。おばあちゃんはいつもお酒を飲んでタバコを吸っている。
1973年12月6日、映画クラブで遅くなったけど、レイからデートに誘われてウキウキ気分でトウモロコシ畑を歩いていたら、隣のハーヴェイおじさんが声をかけてきて、のこのこついていった私は殺されちゃったってわけ。
でも私、天国とこの世の間からずっと見ているわ、パパとママのこと、大好きな家族のこと、そしてレイのこと。もちろん、私を殺したハーヴェイも。私の声は届かないかもしれないけれど、想いはきっと伝わるはず。
パパは約束どおり、私が撮ったフィルムを毎月一本ずつ現像してる。ママは耐え切れなくて、家を出てカリフォルニアのオレンジ農家に働きに行っちゃった。妹のリンジーは立派な成績をとって、素敵なボーイフレンドもできたし、おばあちゃんは相変わらずお酒ばっかり飲んでるけど、弟のいい遊び相手になってるわ。
私は天国とこの世の間で、これまでハーヴェイが殺してきた少女たちと会ったの。もう大好きな家族も私のいない日々に慣れてきたようだし、大丈夫かなって思ってみんなと一緒に天国に行こうとしたんだけど、ひとつだけ忘れてきたことがあったから、ちょっと戻るわね。
ってな感じで死んじゃったスージーは家族を見守っているんだけど、残された家族、とくにパパとリンジーはハーヴェイを疑っていて、ハーヴェイの留守中、ついにリンジーは決定的な証拠を手に入れる。ハーヴェイは重い金庫を捨てて逃げおおせるんだけど、無事に天罰が下される。
ハーヴェイは家族を殺された者の執念を甘く見ていたようね。でもパパもリンジーも、絶対に諦めないってわかっていたから、私はずっとそばにいたわ。え、忘れてきたこと?それは初恋の人、レイのこと。私を殺したハーヴェイなんかに興味はないわ。私は忘れてきたことをしっかりやらなきゃ。。。
実態は陰惨な殺人事件とそれに苦悩する家族の物語なんだけど、天国とこの世の間にいるスージーがところどころで登場するおかげで陰鬱な雰囲気になることはない。スージーがいる場所のCGの情景が、さんさんと陽が射したり、大雨が降ったり、大樹の葉っぱを散らしたり元に戻したり、変幻自在に変わって、暗いはずのストーリーをまろやかな色合いに変えているのだ。
スージーを演じるシアーシャ・ローナンは青い目をしたとても綺麗な女の子。大きくなったらすごい女優になるんじゃないかな。
家族愛を強く感じる映画でした。
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