まてぃの徒然映画+雑記

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The NET 網に囚われた男

2017-03-19 21:02:39 | 韓国映画(あ~な行)

プンサンケ』や『レッド・ファミリー』で製作、脚本として北朝鮮をテーマにしてきたキム・ギドク監督が、自ら監督として北朝鮮との関係をテーマに描く。

一介の漁師ナム・チョルは、北朝鮮と韓国の国境沿いに妻と娘と3人で貧しくも幸せな暮らしを送っていた。しかし、ある日漁に出ると船のエンジンが故障して、流されるままに韓国領に着く。逮捕されたナム・チョルはスパイだと疑われ、厳しい訊問を受けるが証拠は全くない。すると今度は脱北を勧められ、ソウルの繁華街のど真ん中へ連れていかれるが、車中ではずっと目をつむり外を見ない、という徹底ぶり。北朝鮮へ帰ったらさらに厳しい取調べが待っているのは承知していて、見なければ喋ることもないという単純な理屈。しかし一人街中に放置されるとやむなく目を開け、歩き回る。

収容施設で自殺した北朝鮮の男のスパイの暗号っぽい遺言を娘に伝えた後、ナム・チョルは理性的な心を持つ警官、ジヌの元へ帰ってくるが、マスコミに行動が知られ、報道を見た北朝鮮も妻子を出してアピールしたため、北朝鮮への送還が決定する。韓国全土からたくさんの贈り物が届くが、ナム・チョルは何一つ持っていくことができない。収容所で与えられたトレーナーのような服さえ帰りの船で脱ぎ捨てるのだ。ジヌはプレゼントを米ドルに換えてナム・チョルに持たせるが、北朝鮮へ帰った彼を待っていたのは、予想通り保衛部の厳しい取調べだった。

韓国の取調官と同様に経験したことを全て書かせる取調べ。ビニールに入れ飲み込んだ米ドルも、トイレで出たところを回収されて取調官に没収される。妻子を出してアピールしたおかげもあったのだろう、何とかお咎めなしで釈放されるが、二度と南に行かないようにと漁に出ることを禁止される。。。

スパイだと疑う韓国警察の取調べと、帰ってからの北朝鮮保衛部の取調べが、ほとんど同じなのはかなりのブラックジョークです。ナム・チョルがソウルの街中、夜の繁華街で水商売の女を助けるくだりも、豊かさや幸せといったものに対する皮肉に満ちています。物質的に豊かな韓国でも、決して誰もが幸せでいることはない、却ってお金があるから貧しくなっていることもあるんだと。

同じ民族で顔かたちも同じ、言葉も同じ、思想でしか区別できないからスパイ探しは激烈になるのでしょうか。韓国側の厳しい取調官も親が朝鮮戦争で何か背景があるらしく、だからこそ自分の正当性を証明するために人一倍厳しく無茶な取調べをやっているようです。こうしたところも分断のひずみなのでしょう。

同じ民族が政治の都合で分断されている理不尽さを、強く感じました。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (ここなつ)
2017-03-21 14:15:21
こんにちは。TBをありがとうございました。
この作品はかなり多くのことを考えさせられました。
本当の豊かさって何なのでしょうね?
そして休戦はあくまでも休戦なのであり、決して終戦ではないのだ…とひしひしと感じてしまいました。
ここなつさんへ (まてぃ)
2017-04-09 23:34:38
コメントありがとうございます。
北と南、どちらが幸せなのか、もちろん北は論外だけど、南だって言うほど幸せではないっていう皮肉っぽさがが痛烈でした。
そして実際にスパイ合戦などがあるというのも、辛い現実ですね。

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