まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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ベルファスト71 '71

2015-09-21 23:53:59 | その他の映画(は~わ行)

IRAをはじめとする独立派と英国との対立が激化する北アイルランドの首都ベルファスト、治安維持のために派遣された軍隊の中に新兵のゲイリーもいた。

道路封鎖の出動命令で配置につくが、背後で警察が手荒な捜査で武器を探していると、住民が徐々に現場を取り囲み投石まで起き始める。そして部隊の陣形が崩れた隙に小銃が子供に奪われる。取り戻そうと追いかけたゲイリーとトンプソンだが、逆に独立派に囲まれて殴る蹴るの暴行を受ける。トンプソンは過激派クインの手下に射殺され、ゲイリーはベルファストの細い路地を逃げ回る。

クインの追っ手を何とか振り切った後、ゲイリーは英国派の少年と出会い彼らのアジトであるパブへ連れていかれる。そこの裏部屋ではIRAへの報復に手製爆弾が準備されていたが、運び役が取扱いを間違えたのか当のパブで爆発してしまう。瀕死の状態の少年を近くの人に託し、ゲイリーは兵舎へ帰投しようとするが、爆発のときに負った傷のせいで途中で倒れてしまう。

通りがかりの父娘がゲイリーを自分たちの家まで運んで、かつて衛生兵だった父が応急手当をするが、彼らは英国と対立するIRAのメンバーだった。ゲイリーを巡って、IRA内の穏健派と過激派、そして英軍が動き出す。。。

ほんの一晩でこれだけ濃密な出来事が起きていることに驚きです。ゲイリーが逃げ、過激派が追う手に汗握る展開がベルファストの路地から英国派のパブ、そして作戦前のブリーフィングでも危険と言われていた過激派が巣食う団地まで、息もつかせないスピードで繰り広げられます。

アイルランド問題は、カトリックとプロテスタントの宗派問題、そしてアイルランド系とアングロサクソンの民族問題と、薄っすらとした知識しかありませんが、爆弾テロの問答無用で敵を殺すところを見ると、どちらが正義というわけではなく正しい戦争などないのだなあ、と痛感します。ゲイリーをパブに案内した英国派の少年が思いもかけぬ爆発で非情にも亡くなるシークエンスは、戦争が弱いものを犠牲にすることの証左でしょう。

団地内での追跡と逃走は、たまたま開いた部屋にゲイリーが隠れた状況が、路地で逃げていたときの状況と同じだなあと。その部屋にいた女の子に何もなくてよかったとほっとします。学業が優秀なのに過激派の活動に参加している大学生くらいの若者ショーンが、ゲイリーを撃つのを躊躇っていたのは「人を殺す」ことへの本能的な抵抗でしょうか。自分が殺されるかも、というゲイリーのような状況や、まさに敵と対峙している前線ならそうした抵抗を乗り越えて引き金を引くのでしょうが、自分に危険の及ばない無抵抗な相手を殺すのは、よほどのことがない限り難しいのでしょう。人間らしい躊躇いを見せたショーンが殺され、過激派のリーダークインが生き残らされる理不尽な結果も戦争の一部だと思います。

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