2009年1月15日、USエアウェイズ1549便で起こったハドソン川への不時着水。両エンジンがバードアタックで停止する中で死者を一人も出さずに不時着水に成功した機長のサリー(トム・ハンクス)は、一躍英雄となった。しかし、国家運輸安全委員会(NTSB)は、空港に引き返して乗客らを危険に晒すことなく着陸できたのではないか、という疑念を持っていた。
つい最近起こった事件の映画化だけに、ドキュメンタリーじゃないかってくらい事実をなぞっています。余分なものが入っていないからこそ、心を打つ作品になっているのでしょう。
航空機事故の原因究明は、フライトレコーダーやボイスレコーダーを回収して分析することが多いと思いますが、この事故は実際に対応したパイロットが生きている、という類まれなケーズ。シミュレーターのパイロットが公聴会の本番前に17回も練習した、というのは失笑を通り越して呆れてしまいます。
おまけにエンジンが停止したらすぐに空港に引き返す、という設定も実は手順通りではない。サリーと副操縦士はまず何が起きたかを把握して、マニュアル通りの復帰手順を行っても回復しない、となってから回避行動に移っているのだから、シミュレーションでも判断の時間を入れてほしい、と要求したら案の定、空港へたどり着くことはできなかった。公聴会で操縦室の音声を聞き返すときの事故当時の再現は、緊迫感がありました。NTSBはなぜあんなにサリーに厳しかったのでしょうか?航空機そのものの不良ではないとエアバスから強い圧力を受けていたのかもしれません。
1549便の乗客役で、実際の乗客が入っていたこともびっくり!エンドロールでHIMSELFって珍しい。そして本物のサリーと奥さん、乗客たちが映るエンドロールでも、この事故が本当につい最近あったことなんだ、と改めて実感させられました。
クリント・イーストウッド監督、86歳だというのに全く衰えを感じさせません。すごい!
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10/2 TOHOシネマズ川崎
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