「殻ちゃん⑬」
◆テレビにはカレーを食べるオラがいて「オイシイ」というとき鼻がふくれる
12月の或る午後、アキのところにママの春子がやってくる。ブリの切り身3切れを持参して。
ママ☀「アキ、あと20分でコマーシャルだよ」
すでにテレビの前にアキと殻ちゃんが座っている。ママもすわり3人が画面を見据える。いよいよコマーシャル、開始！
「このカレーいつもよりおいしいね」 アキの顔がだんだん大きくなる。
「今日のは印度屋のレトルトカレー」と鈴鹿ひろ美の笑顔のみ大きくなり消える。２０秒？
殻 ♪♪「あれがママ？ほんと？きれいだった」。
アキ✿「いやだわ、この子ったら」
ママ☀「すごくキレイに撮れたね。アキ。鈴鹿さんも皺がない。大成功だよ」
殻 ♪♪「夏ばっぱに早く知らせてたら、コマーシャルのこと」
アキはケータイでメールを。すぐに返信が来る。「今テレビでアキを見たよ。夏ばっぱ」
いつものように「一言の返信」だ。 会いたいなあ、夏ばっぱに、そして海のウニたちに。
約1時間後にアキはまたコマーシャルを見た。テレビのアキが自分を見ている。不思議な感 じがする。林真理子の語録を思い出す♠♠｛あるがままの自分でいい。だけどそれを魅力的に見せる人が勝ちよ｝ 魅力ってなんだろう？と考えていたらアキは眠くなってきた午後4時。
12月9日 もうじき午後4時、わたしも眠くなってきました。今日はここまで。
「殻ちゃん⑭」も読んでくださいね。 松井多絵子