えくぼ

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夜空に怖ろしい花ばな

2016-07-17 09:25:06 | 歌う

                怖ろしい花火

 7月15日は巴里祭、その夜ニースで花火見物客の列に大型トラックが突っ込んだ。約2キロ暴走したのち運転手と警察の間で銃撃戦になった。80人が死亡し18人が重体。ニースはフランス南部のリゾート地である。夜10時半、花火は夜空に満開だったであろう。

 「現代短歌辞典」には、「花火」は夏の夜空を彩る打ち上げ花火はもちろん、線香花火など手花火の類であっても、夜の闇に散る花火は、華やかさとはかなさを同時に感じさせる。目や耳など五感に訴えかけてくる色や音をキャッチし表現することにより歌はさらに臨場感を増す。花火は恋の歌に多く登場する、、。と。次のような歌を引用している。

 ◉ 音たかく夜空に花火うち開きわれは隈なく奪はれている  中城ふみ子

 ◉ くらぐらと赤大輪の花火散り忘れむことを強く忘れよ  小池光

 ◉ ゆがみたる花火たちまち拭ふとも無傷の空となることはなし 斉藤史

 著名な歌人の花火の歌は華やかな花火ではなく、むしろ自身の心を傷つけたり空しくなるような辛い歌に思える。若い歌人の花火の歌を探したが直ぐには見つからない。山田航が昨年末に刊行した『桜前線開架宣言』に次のような1首があった。

 ◉ 僕たちは海に花火に驚いて手のひらですぐ楽器を作る  堂園昌彦

 高校時代に短歌を始めた堂園昌彦は今33歳か。2007年に短歌研究新人賞最終候補、
現在は「ガルマン歌会」選者。すでに第一歌集『やがて秋茄子へと到る』を上梓している。
山田航は 「コンピューターミュージック全盛時代にあえて生ギターと美しいメロディで勝負する歌人」だと書いている。わたしはギターの旋律が好きだからなのか。この1首に立ち止ったままである。やがて、いいえ秋茄子に至る頃はもうじきやって来る。

       8月に琵琶湖の花火大会へ行く予定が、未定になるかも、、。

                      7月17日  松井多絵子