えくぼ

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苔の森を歩く

2016-07-16 09:52:06 | 歌う

               苔の森を歩く  

 ♠ 白駒の苔の色とは異なれど苔色の手帳に一首を記す  松井多絵子

 いつからか私のクローゼットは苔が目立つ。苔色の、モスグリーンの服が狭い空間にまるで苔。青い服は若さを失うほど暗い青に、むしろ暗い緑の苔色が肌に合うのかもしれない。3日前の白駒の苔の原生林でも私は苔色のジャケットを着ていた。そしてメモ帳まで苔色、でも服もメモ帳も苔の森の苔の色とは異なる色だが。

 白駒の池の近くに着いたのは12時すぎ、晴れていたが肌寒い。標高2100m、この辺りは原生林、標高の高い所にある池では日本最大の白駒池へと歩く。緩やかな起伏の道の辺りの苔はまるで絨毯のように柔らかそうで艶がある。幹から根許へ広がる苔は木々がスカートをはいているようだ。日本の貴重な苔の森に認定された苔の種類は485種類(八ヶ岳)

 白駒の池は水深8.6m、周囲1.8k その水際には木々の緑が映り 池をさらに爽やかにしている。此処には夏がなく、まもなく晩秋になるだろう。紅葉はさぞ見事だろう。9月のはじめに又ここに来たいと思いながら引き返す。根元はみな苔に覆われた木々の道を歩きながら、しっとりした気分になる。7月13日の、わが徘徊の記。

    ♠ わたくしの抜け殻となりハンガーに吊られていたり苔色の服

                      7月16 日  松井多絵子