ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Interplay

2006-06-19 05:11:07 | Weblog
このアルバムに接したのは、18歳のときだった。その頃やってたバンドのバンマスがギタリストでジムホールのオタクだった。このアルバムのタイトル曲はもちろんコピーしてやってた。いろんな勉強にはなったね。うん。でもこのアルバムのできた経緯とか音楽のワケみたいなのがわかってきたのは、20年ぐらいあとだった。'62年の4月から8月にかけてエヴァンスはレコーディングしまくってる。これだけやったら他の仕事はできないね。チャックイスラエルを加えた新しいトリオ、ジムホールとのデュオ、レーベルを変えてシェリーマンとのトリオ、そしてこのアルバムだ。計8回、スタジオに入っている。理由は"MONEY"そうなんだ。悲しいけどそれが事実なんだ。ドラッグを買うための"金"だったんだ。レコーディングが一番手っ取り早く儲かったんだろう。当時のエヴァンスの立場だったらね。ビルが録音したいといったらレコード会社は喜んで金を出したからね。このアルバムもトリオばかりじゃまずいからメンバーを代え、管楽器を加えて工夫はしてるけど、オリジナルは1曲だし、あとはまあよくできてはいるもののアレンジしたポップス曲だ。エヴァンスが普通の人だったらひどい駄作になって当然。でも名盤。といったらいいすぎかな?30数年前何も分からず、一生懸命聞いて夢中になっていたのは、このアルバムの奥から聞こえてくるエヴァンスの苦しみを感じていたからかもしれない。


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