ビバップという音楽の特徴を簡単に言うことはできないけど、音楽構造の面での大きな変化というか進化があったことは確かだ。フェイクミュージックとしてスタートしたジャズが題材にしてきたのは主に過去のポップ曲だった。当然歌いやすい曲だ。それに半音階的な和声をつける。リハーモナイズという手法でハーモニーを豊かにするのだ。ポップ曲が完全に全音階的というわけではない。半音階的要素も含まれている。でもその要素を多くするのだ。そしてインプロヴィゼーションにもそれを反映させる。最初は、音楽の高級感という衝撃を与える。でも度が過ぎると複雑で認識しにくくなる。あっという間にマンネリに陥る。ビバップリフレインと揶揄されるようになる。当時からこういう議論はいやというほどされてきた。その反動で7音を中心にしたモード手法といういわば音楽の「ゆり戻し」も起きた。何十年間いろんな世代のミュージシャンと接してきた。個人差もあるけどやはり世代によってそれぞれにビバップの受け取り方が違う。どっぷりはまる人、反発する人、客観的に眺めるひと、いろんな思いがあるようだ。でも全員がビバップを意識している。ビバップはそういう音楽なんだ。時代背景という要素があるにせよ'40年代にニューヨークで生まれた「ビバップ」はインプロヴィゼーションを中心とするジャズという音楽の可能性と限界を両方暗示しているのではないか?
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