ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Joanna's Theme

2007-12-01 01:02:14 | Weblog
マイケル・ウィナー監督の映画「狼よさらば」の音楽を依頼されたハービーハンコックは、ヘッドハンターズのメンバーにオーケストラを加えてサウンドトラックを完成させた。この曲はその中の一曲でハービーの新作だ。映画はボクも見た。音楽を聞きにという意識が強かったけど、映画そのものも面白かった。チャールズブロンソンのファンだしね。この曲が使われていた場面も覚えている。Joannaというのは映画の中で暴漢に殺されたチャールズブロンソンの奥さんの名前だ。映画のテーマは結構重い。この曲はその後、ウェインショーターのアルバムやウェインとのデュオアルバムにも収録されている。一流の曲だ。結局ヘッドハンターズというバンドはこの後もたびたびツアーをこなし、最近も再結成したりして、ハービーハンコックのキャリアの中でも重要な位置をしめるバンドになった。何かがしっくりいったんだろう。こういう風に音楽のはっきりした方向性とそれを表現できるバンドが備わった時というのはまわりから見るとすごく輝いて見えるものだ。ハービーはまさにそうだった。マイルスディビスはこの頃長期休養の寸前で行き先を見失ってコカインまみれの崩壊寸前の演奏をしていた。この少し前、マイルスは自分のバンドをやめた後のハービーについて音楽の方向性がはっきりしないと批判めいたことを言っていた。皮肉なもんだ。マイルスもハービーも音楽を追求する姿勢をくずしたことはないし、才能もピカイチだ。なのにこういうことが起きる。芸術というのはこういうものなのか?


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