ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

In A Mellow Tone

2011-12-06 02:01:59 | Weblog
デュークエリントンの作品、コード進行は「Rose Room」と酷似している。まあそんなことはたいしたことではない。どんな経緯でできたにせよ、この曲は偉大なデュークサウンドの一角であり、ジャズミュージシャンが愛するスタンダード曲だ。オリジナルはフラットが4つ。ジャズミュージシャンの作った曲のオリジナルキーにフラットが多いのは管楽器がフラット系だから・・。それだけの理由だ。ジャズという音楽がとにかく管楽器がリードしてきた音楽である証拠だ。コントラバスやギターなど弦楽器は解放弦の音からしてもシャープのほうがよく響く。でもベーシストはジャズという音楽になじむため、フラットがいっぱいついた曲をマスターすべく一生懸命努力する。ピアノはキーはあまり関係ない。慣れればそれで終わり。黒鍵があるほうが弾きやすいことのほうが多い。もちろん指使いという問題があって半音違うと指使いを変えないと弾けなくなってしまうけど、でもそれもちょっとした「慣れ」。ピアノ教育もいろいろあるけど、本当の初期からいろんなキーの曲をやることが後でいろんな調性をスムーズに受け入れる下地になると思う。それはピアノ教師の責任だ。数十年も前の話だけど、サックスの松本英彦さんが’60年代の初めにニューヨークに行った時にソロピアノをやってる素晴らしいセンスのピアニストがいて、その人は弾く曲のキーが全部Dフラットだったと言っていた。そのころは世の中にまだそういうプロが存在する余地があったのだろう。今は絶対無理だけど・・・。


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