とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

「人はほとんど自分に関するかぎり、その真の動機を知っていない。」

2018-11-25 12:02:06 | 折々のことば
 タイトルは今日の朝日新聞「折々のことば」より、色川大吉氏のことば。

 このことばに鷲田清一さんが続ける。

 人はある行為へと自らを動かしたものを見通せない。したかったのか、せざるをえなかったのかさえ不明なこともあれば、同時代人が共有する観念に沿って自身の動機を読み違えもする。個人の行為は、地下水のごとく「歴史を内側から脈打つもの」と切り離しては理解できない。だから「何を為(し)たか」以上に「いかに為たか」が重要だと民衆思想史家は言う。

 人間自分の心はわかっていると思いながら、実は何もわかっていない。わかっていない心をむりやり説明しようとすればつじつま合わせをせざるを得ない。これは無意識のうちに行ってしまうので、自分ではつじつま合わせだとは思っていない。だから厄介だ。自分では正しいと思いながら、実は間違った方向に心が向かってしまうことがあるのである。

 歴史も同じだ。歴史というのはたくさんの人間によって形成されたものだ。だから展開が読めるものではないし、展開に「必然」を求めると本質が見えなくなることが多い。無理やり筋をつくると歴史は捻じ曲げられる。

 日本が戦争に突入した理由と日本人だけのせいにしても無理が生じるし、状況のせいばかりにして日本人が悪くないとしても無理が生じる。どんな証拠があろうともその証拠は後から見つけたものであり、必ず別の物語は存在しているのである。

 ではどうすればいいのか。この問題が私に突き付けられる。
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