高校で古典文法を学ぶとき、最初に動詞の活用を覚えます。具体的には
四段活用
上二段活用
下二段活用
上一段活用
下一段活用
カ行変格活用
サ行変格活用
ナ行変格活用
ラ行変格活用
以上9種類の活用の種類があります。
そして活用する行も答えなければなりません。例えば「読む」という動詞ならば、
「ま、み、む、む、め、め」
と活用しますので、マ行四段活用になります。
その「行」について、いくつかの問題が生じます。それは「ア行」「ヤ行」「ワ行」に共通するものがあるからの混乱です。
ア行 あ、い、う、え、お
ヤ行 や、い、ゆ、え、よ
ワ行 わ、ゐ、う、ゑ、を
ア行とヤ行で「い、え」が、ア行とワ行で「う」が共通しています。そのために、教師は次のような問題でひっかけようとします。
問① 「老いたり」の「老い」は何行何活用か。
問② 「(飢う)けり」の「飢う」を適当な形にせよ。
問③ 「得ず。」の「得」は何行何活用か。
問④ 「射る」は何行何活用か。
①は、腹黒の国語教師はア行と答えさせようとしています。 しかし「老い」はヤ行上二段の「老ゆ」の活用したものです。「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」はヤ行上二段活用です。
②は「飢え」と答えさせようとしています。しかし「飢う」はワ行下二段活用です。ですから「飢え」ではなく、「飢ゑ」なのです。「飢う」「植う」「据う」はワ行下二段活用です。
③はア行下二段活用です。すべての古典動詞のうちでア行で活用するのは「得」「心得」だけで、それは下二段活用です。ア行四段活用や、ア行上二段活用はないのです。
ここまではいいのですが、④はどうでしょう。
④。上一段活用に「射る」と「鋳る」という動詞があります。これは仮名で書くと、「いる」です。活用は「い・い・いる・いる・いれ・いよ」です。ア行のように見えますよね。しかし、教科書や文法書ではこれをヤ行上一段活用と書いています。
しかし疑問に感じるはずです。
「ア行」だっていいんじゃない?
そうなのです。「ア行」だっていいのです。私は昔、これをヤ行である合理的な理由があるのだと思っていました。しかし実はなんの合理的な理由もなかったのです。それなのに、国語教師も、教科書もヤ行だと言います。こんな愚かな話はありません。
日本の国語教育のいい加減さが明確に表れていることのひとつです。
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