goo blog サービス終了のお知らせ 

とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

国立劇場『仮名手本忠臣蔵』(11月14日)

2016-11-15 06:31:32 | 演劇
 国立劇場の『仮名手本忠臣蔵』の2ヶ月目である。3カ月で全編通す。今月は最初に「道行旅路の花婿」があり、その後5段目から7段目まで。

  浄瑠璃 道行旅路の花聟 清元連中
  五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
         同   二つ玉の場
  六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
  七段目 祇園一力茶屋の場

 私はいわゆる歌舞伎通ではない。しかし何度か『仮名手本忠臣蔵』を見ている。知らない方には今回の記述はよくわからないものとなってしまう。あらかじめご容赦を。

 この「道行旅路の花聟」というのはもともとはないものだそうだ。江戸歌舞伎として上演されるようになったとのこと。今月は「勘平とお軽」の物語だということでここに持ってきているようだ。

 五段目も斧定九郎という悪党が出てくる。斧九大夫という塩治判官の家臣でありながら裏切者の息子である。ただし働きもしない。まあチンピラみたいなものだ。しかし中村仲蔵という役者がこの悪党をニヒルなカッコイイ役者に変えてしまった。これは落語の有名な演目になっている。人気があり私自身も期待する場面ではあるが、これももともとの作者のイメージとは違うものだろう。

 これらの場面は支持されてきたものであり、伝統ある型ができているわけだから大切にしたいものだが。しかしもともとの作品の意図とは大きくずれてしまっている。もともとの忠臣蔵というのはどういう演出が正しいのだろう。作者の意図に近い忠臣蔵を見てみたいという気持ちが今回沸いてきた。全編通しで見るとよくわかるのだが、『仮名手本忠臣蔵』は登場人物のそれぞれのストーリーがからみあい、よくできたストーリーなのだ。

 由良之助以上に加古川本蔵に光をあてるべき話なのではないかという気もしてくるのである。忠臣とはどういう人を言うのか。『仮名手本忠臣蔵』の新演出での上演をひそかに期待している。

 菊五郎の勘平はもはや名人芸である。話の筋としては無理があるのだが、菊五郎のしぐさがすべてを表現している。七段目の由良之助は吉右衛門。さすがの貫禄。ただ声の張りがなくなってきているような気がした。三代目中村又五郎の寺岡平右衛門がいい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする