本の読み方の設計図。

本の構造を明らかにしていく。
論拠・主張

論証=事例、引用。

小説031 : reProfesional#104

2008-10-22 23:58:32 | reProfesional
chapter#31 真実と事実

真実はあまりに危険なものだ。
ボクはそのように感じた。なぜそのように感じたのだろうか?
ボクは彼が本当に、罪を犯したのかということは、実は不確かなのではないかと思っている。彼は確かに、暴力的なところもある。
しかし、彼は、こうもりの呪縛から逃れたいあまりに、嘘を真実として、もしくは、真実ではあっても、こうもりから逃れるために、作り上げたのではないかと思う。
彼は、暴力的ではあっても、僕には優しかったし、嘘をそれほど、うまくつけるほど残酷な人間にも思えなかった。ただ、たしかに、彼は、ボクがうまく獲物を見つけるのに、妨げとなることもあった。

彼はおそらく、こうもりに生贄にされた鳥であった。彼はもともと自由であったし、現在も自由であったんだろうと思う。疑わしきところはあったにしても、彼はうまくゲージの中にこうもりの監視の下に飼育されていた。
こうもりのもとで彼を見守る、ハトたち。
ハトは、首を横に振らない。ハトは、こっけいな鳴き声ともに、無意味に首を縦にふるだけである。

それにしても、ここには毛並みによくないハトが多い。毛に光沢のあるハトなんて皆無に近い。

彼への悲劇。
彼は、こうもりによって、そしてこうもりに操られるハトによって、タカへとしたてられた。
歴史上、現在もそうだが、ハトと、タカの争いは後を立たない。ハトは、表面上の正義に弱い。タカは暴力的な正義をこのむ。

タカは、自分の主張を突き通すために時に自己中心的になる。


大群のハトが、タカを襲った。
ハトが、タカを単独でしとめるためには、あまりに無力であった。
大空を舞うタカは、無残にも地上へと鮮血とともに急降下していった。

ボクは、ココロというのが、初めて、これほど惨めに壊れ去りそうになるのを感じた。

タカは死んだ。タカは逃げる路もあったが、逃げなかった。鮮血をボクの肌に撒き散らし、惨めにも死んでいった。

ハトは神の象徴らしい。ハトは、時にこうもりという神のもとにあまりに残酷になる。自慰意識というオブラートに包まれた真実。
タカは、軽くやぶれるオブラートをのどに詰まらせ、窒息した。

真実はつくられるもの。神によって、無残にもつくられるもの。
別に、それが本当に事実によって、構成されているとか、いないとかそういうことはあまり関係ない。ただ神によって都合がいいか悪いかということが時に優先される。
神は気まぐれだ。本当の神ではない神は気まぐれだ。

人間というものは厄介だ、その中途半端な頭脳のゆえに、虚偽の神を多くつくりすぎてしまった。本当に信奉している甲斐ないかということとは別に、人間は時に惰性で神を信奉しなければならないシーンもある。
このおろかな人間。

ボクは神も、こうもりもそれほど忌み嫌っているわけではない。でも、神の思し召しで、異種の民を無残にもいましめるハトは嫌いだ。

タカよ!本当のところはどうだったんだい?
ボクは胸が締め付けれる思いだった・・・
コメント
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