本の読み方の設計図。

本の構造を明らかにしていく。
論拠・主張

論証=事例、引用。

小説020 : reProfesional#93

2008-10-11 02:20:00 | reProfesional
chapter#20 挿話 ~手紙

ボクはいつものように、物語の続きを書こうと、ペンを握った。
でも、今日は、ボクは昔の気持ちに戻っている。年老いた母、父との戯れ。ボクは、なんともいえない申し訳ない気持ちになった。ボクは昔はよく、書いていた手紙を書いてみようと思った。




 拝啓 まだ見ぬアナタヘ~ 

ボクはもちろん、家族を愛しているし、一生を誓った異性を愛しているし、それ 以外の女性を愛するということはない。
それは紛れもない真実だ。
でも、ボクはひとりで生きていくには、弱すぎるんだと思う。
ごめんね。いいわけをしていきてきたのが、これまでのボクの25年間の人生だったんだと思う。
 
正々堂々とすべてを語れるほど、清廉潔白でもない。
正直に言うと、ボクはうそつきなのかもしれない。周りの人間より、多少という表現を使うと、バチがあたるというほどに恵まれているのかも知れない。
自分勝手なボク。

まだ見ぬアナタヘ。
こんなアナタに手紙を書いてしまうという弱さ。
ボクはね、怖いんだ。まだ若いときは、本音で話せないということを強く憎んだ時期もあった。自分の力のなさを嘆いた時期もあった。
そのころのボクはうそはついていなかった。
詩人だったボクは小説を書こうと思った。

とんがった部分がなくなったんだね。
でもね、とんがってばかりじゃ、だめなんだよね。
巧妙にうそをつき、身の潔白を主張する。
許してとは言わない。
これが、ボクなんだよ。
ボクは、まだ見ぬアナタに会いたいとは思わない。
だって、ありったけのボクを見せた時に、ありったけのボクがアナタに見られてしまったときに、すべてが崩壊するんじゃないかって思うんだ。

だから、すごく怖いんだ。
秘め事として、この手紙をどうか読まないでください。」

「  追伸 :
   これは、遺書でもなければ、深い意味のあるものでもありません。
   ただ、ボクはまたいつも通り自分勝手に自分の恐怖と不安を和らげるために、まだ見ぬアナタなんていう都合のよいタイトルで書いた手紙です。」


ボクは今日は、もう物語を書くのをよしておこうと思った。

《幸せな過去との再会は、時に不幸せな現在の、恐怖の未来への招待状へと変わることがある。》

ボクの頭の中には、数少ない哲学書の不確かな解釈がよぎっていく・・・

ボクはもう詩人でもないんだ。次に目指そうと、決心した姿に早く変わろう。
ボクがハイエナ?あの人がこうもり?
ボクはなんていうことをしてしまったんだ・・・
どうか、ボクを倒錯状態から戻してください。

・・・・・このままきっといつものように、阿呆面をし不快な眠りへとついていくんだろう。
コメント
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