がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

母というもの

2007年08月30日 | Weblog
2007年08月30日記載

私の母親は、いまだに私が病気になったことに罪悪感・責任を感じているようである。

私がなった骨肉腫は100万人に2人~3人が罹患すると言われる極めて稀な病気である。仮に100万人に2人が罹患するとすると、その確率は50万分の1である。百分率で言えば、0.0002%である。骨肉腫の原因はいまだ解明されていないが、仮に遺伝するとすると、その確率は50万分の1×50万分の1、すなわち2500億分の1である。百分率で言えば、0.00000004%である。従って、親子ともに骨肉腫という患者は、計算上は人口60億人のこの世界には存在しないこととなる。

上記のことは、理屈っぽい私の口から幾度と無く母親に直接伝えられている。「遺伝ではない。単なる不幸に遭遇しただけのことだ。」と。「ほんの一部遺伝が原因と考えられるがんもあるが、悪性骨軟部腫瘍や白血病等で遺伝が原因とされるものはない。」とも説明している。

しかし、いまだ母親は気に掛けている。骨肉腫になるような体に産んでしまったと。

骨肉腫になってしまった子を持つ方と話をしたことがあるが、その人もやはり自分をひどく責めていた。「私がこんな体に産んでしまった。」と。

小児がんの子を持つ親御さんもそのように思われている方が少なくないのではないかと推察する。しかし、できればそう考えてもらいたくない。子供はきっとそんなことは思っていない。そんな風に自分を責める親を見て寧ろ悲しんでいると思う。少なくとも私はそう思っている。

親の子に対する愛情は理屈ではないであろうから、上記のような理屈は通じないのかもしれない。しかし、自らを責める親の姿を見て喜ぶ子供はいない。幸せに暮らしている姿をこそ見せて欲しいと思っていると思う。

仮に私が母親より早く死んだとしても、孫達と楽しく暮らしていってもらいたいと切に願う。