新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

1月19日 その2 岸田総理/総裁が宏池会解散を宣言

2024-01-19 16:01:16 | コラム
岸田文雄氏の「大英断」なのか「岸田の乱」なのか:

岸田総理は「政治刷新本部を設けて国民の信頼を回復しようと努める」と言い切られた。良く理解できない宣言だった。何故かと言えば「回復する」という事は「そもそも信頼されていたので、それを回復しよう」との狙いだった事になる。10%台に落ちた支持率を戻そうという大英断だとでも言いたいのかという疑問に撞着する。メデイアの中には「岸田の乱」など報じた所もあった。

だが、自民党内部の派閥における収支報告書不記載の失態を是正し、政治資金パーテイを自粛すれば、国民が再び信頼して「岸田さんに矢張りお任せしよう」とでもなるとでもお考えだったのかと疑問に思うのだ。

当方は余り岸田文雄氏という政治家を高く評価していなかったし、信頼もしていなかった。私の元の上司がトランプ大統領を表して“I am not a great big fan of Trump.”と言ったが、この含意は思いっきり「嫌いだ」と言っているのだ。当方はそこまでは考えていなかったが、岸田文雄氏に満幅の信頼を寄せていた訳ではなかった。

しかし、先日取り上げたように飯島勲氏は「チャンとやるべきことをやっておられたにも拘わらず、減税を言い出した途端に批判されてしまう」と擁護された。だが、私は岸田総理が成立させた法案等々が、国民の生活をいくらかでも楽にするとか、円安を解消するとか、何百万社とある中小企業の段階でも賃上げが隅々にまで行き渡るような効果を発揮していないのではありませんかと言いたくなるのだ。

そこに、今回の安倍派等における政治資金規正法の規定に違反する収支報告書不記載の件を、神戸の大学の教授に告発され、検察の特捜部が受理した為に大きな騒動になってしまったのである。岸田総理はその問題を自民党の内部を刷新する為の本部を「政治刷新」と題して設けられたのだ。だが、刷新させようとするのは国政ではなく、自由民主党の内部に数多く存在する派閥の刷新だったようなのだ。私は「何となく違うのではないかな」と受け止めた。

そこに、報道によれば昨日だったか刷新本部の顧問を依頼した麻生副総裁にも菅前総理にも根回しする事なく、突如として自派閥の解体を宣言されたのだった。ある政治ジャーナリストは「余程切羽詰まった決断だったのでは」と表現したが、宏池会が解散されれば、窮地に立たされている安倍派などが追随するとでも判断されたのだろうか。

このジャーナリストはいきなりの宏池会解散ではなく、政治資金規正法の改正や、他派閥の長と幹部を集めて「この事態の下で派閥をどのように処置していくか等々の論議が先ではなかったか。物事の順序が違うのではないか」と批判的だった。私は以前にも岸田文雄という方は「基本的な岸田独自の信念から政権を運営しているのではなく、恰もモグラ叩きのように何か問題が生じると、それに対応する事が主体になっていないか」と非難した。

そこに先ほど検察は三つだったかの派閥の会計責任者を在宅等の起訴に踏み切った。付いては残念であり遺憾に感じている事がある。それは岸田総理がこの未曾有の事態を自由民主党内に「自党の刷新の為の本部を設けて、派閥の解散等で対応すれば切り抜ける事が出来て、国民が再度岸田さんの手腕の任せしようと信頼する」とでも計画されたのだろうかと思ってしまう。そうだったら、見当が違うのではないかという気がする。

政治刷新本部の設立を宣言された時にも、私は「具体的に何をどのような形に刷新するのかが明らかではない」と具体性に乏しい点を非難した。すると、昨日になって出てきたのか宏池会(岸田派)の解散である。大英断である事くらいは解るが、まさか「これこそが目指す刷新だ」と言われるのではないだろうと思う。


上がった人、引いた人;

2024-01-19 07:45:38 | コラム
女性の登用、名手の引退:

つい先頃の事で、時代の変化を思い知らされた「人事異動」とでも言いたい登用と引退の出来事が2種類あった。その点を取り上げてみようと思う。

女性で初めてー鳥取三津子氏、田村智子氏:
上がった方の例である。今週になって日本航空(JAL)が次期社長に鳥取三津子氏を指名したと発表された。この鳥取氏に関する報道では「JAL社で初めてキャビンアテンダント(CA)から社長に昇格される」という点が強調されていた。我が国では常に「女性が責任ある地位に任命する例が世界で最も少ない事」が非難されてきたので、鳥取氏の抜擢は脚光を浴びる事になったのだと見ている。

一時の経営不振の状況から稲盛和夫氏が復活させ今期は利益を上げるまでに活況を呈してきたJALを、鳥取三津子新社長が手腕を発揮されて、何処まで伸ばして行かれるかに期待したいものだ。因みに、報道によれば鳥取三津子氏は短大卒業後に東亜国内航空にCAとして入社され、その後のM&AでJALに転じられて今日に至ったとかだ。そういう経歴の方の才能を見出して経営の重要な地位に抜擢していったJALの人材開発力に敬意を表したい。

田村智子氏は共産党の次期委員長に選任されたのだが、その時期がJALの鳥取氏の社長指名と(偶然の事だろうが)重なったので、「女性の登用」という点で一層印象深かった。まさか、共産党が時代の流れに迎合して女性を登用したとのではないだろうが、全く正反対と形容して良いだろう、二つの組織の長に同時に女性が指名されたという事は単に「偶然の一致」として片付ける訳にも行くまいと思っている。

当方は共産党には関心がないが、この田村智子氏は時々見ているテレビの政治関連の討論会等に出て、小池書記局長とは異なって穏やかな口調で、論理的に同党の見解である内閣と与党の批判を言う人だという方だとの印象しかなかった。だが、あれほど頻繁に党を代表する表の会合に出させるという事のコインの裏側には、何かがあるのかと疑って見ていたが、次期委員長とまでは考えられなかった。

引いた人―中村俊輔、遠藤保仁:
サッカーのファンではない方には「何処の人」となってしまうかも知れない。両者とも惜しまれつつ第一線からの引退を表明した、私の評価では名手であると同時に、私が最も好む型のサッカーのプレーヤーだった。彼らは野球界ならば大谷翔平、バスケットボール界ならば八村塁のような恵まれた素質と体格の持ち主ではなく、巧みな球扱いと繊細な技巧、パス回し、名(プレイス)キッカーとして幅広い層に極めて高く認められていた。

どんな事でも、物事には終わりが訪れてくるのであるから、彼ら二人が何時までも日本代表ティームやJリーグでその類い希なる究極の技と球扱いを見せてくれるのではないとは承知していた。でも、公式に引退と言われれば、何処かのテレビ局でビデオでも往年の名手の技術やフリーキックを見せて欲しいものだと願いたくもなる。YouTubeにも期待したい。

森保時代になってからは、中村や遠藤のような技巧派が少なくなってしまったし、私のように昭和20年から古き良きWMフォーメイションの時代に育った者には、現代の自由奔放にと言うか勝手気ままにポジション取りをして展開していくサッカーには、ついて行きにくくなってしまった。中村と遠藤のように、緩急を付けてフックやスライスをかけるパスやフリーキックをして見せてくれるサッカーが懐かしいのである。