新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

英語の学び方(教えられ方)

2019-04-01 16:59:06 | コラム
音読・暗記・暗唱以外に重要なこと

私の記憶では昭和20年(1945年)4月に湘南中学で当時は未だ敵性語だった英語の授業で先ず教えられたことは「アルファベットの各文字の発音の仕方というか読み方」だった。即ち、簡単な例を挙げれば”a“は「ア」と発音し、”w”は口の端を横に伸ばして「ウ」というという具合だった。その時に既に“l”と“r”との微妙な違いも教えられてのだが、そう簡単には習得できるものではなかった生徒が多かったと記憶する。“v”は本来は「ヴィー」と読むのであると教えられたが、恐らくこれを「ブイ」以外の読み方をしている日本人は極めて希だと思っている。

この英語の学習の第一歩で既に混乱が生じていたようで、多くの生徒たちは後に出会う「ローマ字」の影響をも受けて“a”は「ア」とだけ、“o”は「オ」とだけ発音する英語の発音になって行ってしまうのである。私の組の英語を担当された先生は意外にもアメリカ人との混血で、綺麗なアメリカ語の発音をしておられたので、多くの生徒たちは容易についていけなかったようだった。私はこの辺りの出発点でどういう発音をする先生に教えられたかで、将来の発音の正確さと良し悪しが大きく左右されると思っている。

実際の英語の世界に入ってみると何時かは解ることだが、アメリカ語に特に屡々見られる現象で“a”を素直に「ア」と発音しない例が多過ぎるのだ。定冠詞の“a”にしたところで、かなり多くのアメリカ人は「エイ」と言うのだ。即ち、That was a big surprise.の“a”は「エイ」となって「エイ・ビッグ・サプライズ」と聞こえるという具合だ。実は、かく申す私も「エイ」派に属することにしてある。しかし、これなどは未だお手柔らかな方で、UKのロンドンの一部の訛りやオーストラリアの英語では“a”は「アイ」となってしまうのである。

その例は私がこれまでに何度も採り上げた“I came here today.”が「アイ・カイム・ヒア・トウダイ」となってしまうのが極端な訛りだが、サッカー界の貴公子と我が国で持て囃したDavid Beckhamは自ら「ダイヴィッド・ベッカム」と名乗っている。なお、こういう“a”の発音の仕方はニュージーランドでもごく普通になっている。であるからこそ、私はnative speakerに英語を教えて貰うか、英語教師として招聘する場合には十分な注意が必要であるというのだ。そういう根拠は「アメリカに行けば南部訛りもあれば、東海岸の一部の地域ではQueen’s Englishのような発音をしている」のであるから。

話を元のアルファベットに戻せば、26字それぞれに正統的な発音の他に例外的な発音がある事もあることをもチャンと教えておくべきだということ。だが、それを小学校の児童に教えるのか、中学であらためて教えるのか、どの時点で正当なUK風(=Queen’s English)とアメリカ語と、オーストラリアやニュージーランドという国別の違いを教えるべきかという問題に撞着すると思う。私の結論を言ってしまえば「同盟国であるアメリカ式を取るべし」なのだが、それもどの地区を標準にするかと言えば「西海岸」と主張する。

だが、最大の問題点と思うことは、教える側がどれがどの国の発音であるか、訛りであるかをキチンと識別できる能力を備えていなければならないという点だ。そうでもないと、折角招聘したnative speakerがアメリカの南部訛りだったり、「アイ・カイム・ヒア・トウダイ」系統だったらどう対処するかという問題が生じるのだ。私はこの問題以外に既にトランプ大統領の“I’m gonna ~.であるるとか、”I wanna ~.“はお薦めしないと指摘してある。これは基礎を固めるのを優先すべきだということと同時に「品格」の問題にもなるのだとご承知置き願いたい。