湯の字にっき

日々の日記をつらつらと綴っております

ショーシャンクの空。

2013-11-27 | 畑中さんのこと。
意地悪な人。だったのねぇ洗濯係の時の畑中さん。
シーツを袋から出す時に殆ど全部大家さんの顔にぶつけてるんだもの。
大家さんて、最初の入所時の所長の話のシーンでは筒井くんに殴られ
「夜です」のシーンでは殴り蹴られ淘汰されと、ひどいやられようなのね。
大家さんは2幕冒頭の凛々しい姿や声も素敵ですが
やはりブルックスの「自由を求めて」の声に気持ちが震えてしまう。
開けた窓から空も見ずに落ちていった人。
頭上にはどんな空が広がっていたのだろうか。

いろんなところに空がある。
トミーに似た少年が窓を開けて運んできた
都会の淀んだそれでいて、熱い鼓動も孕んだような夜の空の気配
生活している人々の気配も一緒に連れてきていて
レッドが過去から現代に少し気持ちを繋ぎ止められそうな

窓から飛び立つ紙飛行機の先には夜なのに明るい昼間の空に繋がっている気がする。

約束の地の話をする時の二人の頭上に薄い水色の空は見えるのだけど、
音楽のシーンに青空は見えなくて、どちらかというと世界が暗く沈んで見える。
そして、逆に、体の内側に空が広がっている、ような気がした。
透明なおいしい水を飲んだかのような。

屋上のタール塗りのシーンは空も熱さも感じないんだけど←ごめんなさい。
ビールのシーンの夕暮れは確かに夕暮れで風が流れているように思うし

ラクエルのポスターの背後の青空は偽物みたいにきれいだし。
あれと同じ雰囲気で筒井くんの肉の人のポスターあったら部屋に貼りたいな。
ラクエルと並んでたら更にうれしいな。

ラストの空は盛大な青空で。忘れ難い。
ここでも海風のようなものを感じる。
空と風なのだ。

そこに至るまでの長い、長い、本当に長い時間を
諦めと失望とを繰り返し、それでも自分を保ち続け
トミーという希望を与えられ、奪われ。
そのことが「彼に勇気を与えた」のだろうか。
行き止まりかもしれないその穴へ潜り前へ進めるのか。
私は穴を掘り続けることは出来ても、その穴へ入る勇気がないよ。
ホントにぜーったい無理。
それでも、彼はやった。のか。
暗闇の開放というか、全てを流し尽くす雨というか。
彼が、舞台から外へ一歩、でた時は純粋に驚いたな。
なるほどというか、そうきたかとか。そんな感じで。
ここの音楽もまたよいよなー。

音楽でいちばん好きなのは多分オープニングなんだろうけど。
あの前説みたいな挨拶があってもうしばらくお待ちくださいの後
無音状態だったところから、小さな音量で始まり
時間が近づくにつれだんだん大きくなり、ぷつ、と途切れ
明るくなった舞台上に畑中さんがいるわけですよ。
高まりますね。今思い出しても。

光の加減かもしれないけど、
ここのレッドの後ろに十字架が見えた気がした。

そういえば、映画や原作のように、彼から絵はがきが届かないから、
そこに手紙を見つけるまで彼が本当にいたのか
存在が疑問になるほど彼のことを考え続けたのかな。

二人が出会えて本当に良かった。
たぶん希望はいつでもどこにでもあるのだ。
2幕ラストの絶望に沈んだ二人にさえ、細く薄く月明かりが届くように。
いつでもそこにあって、気付くことができるかどうか、
そこにむかって一歩踏み出す勇気があるか。
そして願い続けられるかどうか。ここがいちばん大変なんだな。

原作『刑務所のリタ・ヘイワース』のいちばん好きな箇所
アンディの手紙の中の一部。

「 この手紙がきみを見つけることを」

という、この手紙が、のとこがとてもとても好きなんだけど
最初「を」の誤植か? と思ったんですが
手紙が、と記すアンディの強い希望なのかなと。
手紙に託した願いなのかなと。
そして、それは、舞台の台詞として出てこないけど、
それが強く感じられるアンディだった。
そんなアンディで観られてうれしかった。

ってまた畑中さんのこと書けてない。
今回もお気に入りシーン見つけてきたのに。