製作地 タイ中部~中北部 ピチット県、ウタイターニー県(若しくはチャイナート県)
製作年代(推定) 20世紀前期
民族名 ラオ・クラン族(Lao Khrang)
素材/技法 絹、木綿、天然染料 / 平地、緯絣
ラオ・クラン族はラオスからの移民としての歴史を有し、現在タイ中部~中北部を中心とするエリアに生活する人々となりますが、染色にラックカイガラムシから得られる赤染料“クラン(khrang)=タイ名”を用いることが民族名の由来となっております。
この“ラック(クラン)”による赤・紅赤を基調色とする緯絣がラオ・クラン族の手による染織・衣装の最大の特徴で、これに北部ラーンナー地方で培われた染織文化が融合するかたちで、他に類の無い独自のデザイン様式・色彩感を有する作品が生み出されてきました。
そしてラオ・クラン族の絣には絹と木綿を交織させた作品が多く見られ、この交織パターンの多様性・独創性も彼らの染織を特徴づけるものとなっております。
ここに取り上げた3点の絣もそれぞれ交織のパターンが異なり、作り手が意図する色柄表情を生み出すための糸遣い・色遣いの工夫を確認することができます。
肉眼だけでは判別できないミクロの世界に技が秘められた染織作品です。
●経(↔):木綿 × 緯:絹(絣)
●経(↔):木綿 × 緯:絹(絣)
●経(↔):絹 × 緯:絹(絣・縞)及び木綿(双糸)
●本記事内容に関する参考(推奨)文献