アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

マルワール様式のインド更紗

2011-03-02 06:37:00 | 染織




製作地 インド・ラージャスタン州西部 マルワール地方  
製作年代(推定) 20世紀前期

床敷き“ジャジャム”として作られた型染め(木版捺染)のインド更紗。中央の十字文様は、インド伝統のボードゲーム“パチーシ”のゲーム盤を表わすもので、本布が部屋に敷かれていれば、ダイスとコマを用意して、いつでも”パチーシ”に興じることができるという趣向となっております。

更紗のボーダーに描かれた“兵隊”のモチーフは、ゲームに興じるものの熱を高める装飾的要素を担っているとも考えられます。マハラジャの地の貴族趣味・遊び心が伝わってくる作例です。





製作地 インド・ラージャスタン州西部 マルワール地方  
製作年代(推定) 19世紀後半

両面染めのインド更紗、或いは別々の二枚の更紗を背中合わせに接ぎ合わせたもの... と思われるかもしれませんが、そのどちらでもありません。

本品は縦(経)4m半の長さで織られた木綿地に、2つの異なるデザインの更紗が染められ、二つ折りで袋縫いされた作品、つまり一枚の染め布から仕立てられたものとなります。

この作品は袋縫いにされた内部に綿入れの痕が残っており、布団的な役割の布として使われたことが伺えます。一枚布の更紗から仕立てられたものとして特殊かつ興味深い作例です。

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