気ままに

大船での気ままな生活日誌

エル・グレコ展

2013-02-11 10:45:36 | Weblog
土曜日の午後だったので、並ぶのを覚悟していたが、意外にもすいと入れて、展示室もゆったりだった。東京都美術館ではじまったエル・グレコ展。没後400年記念、国内史上最大の回顧展という。エル・グレコだけで、51点もの作品が上野に集結しているのだからすごい。この美術展をみて、これまで、ちょっと遠くにいたエル・グレコが、大分、近づいてくれたような気がした。

入場して、展示目録をみる。あの”無原罪のお宿り”はどの辺りにいるのか、目で追うと、一番最後の展示室だった。よく、ぼくはメイン展示品を一番先に観るという手を使うが、今回は、無理とわかり、順に追った。そして、1,2,3章と回り、だんだんそれに近づく”心模様”は、相撲見物に行き、幕下から観はじめ、十両、幕内、三役へと近づく緊張感の高まりによく似ているな、と思い苦笑した。

さて、横綱、”無原罪のお宿り”の土俵入り、不知火型か雲竜型か。もちろん雲竜型(笑)。中央のマリアさまが、まるで昇竜のごとく、うねるように天に向かっているようだ。その勢いに大きな羽根の天使もキューピットも巻き込まれ、天上に吸い込まれていくよう。圧倒的な躍動感、存在感。この風雲に巻き込まれないものがいる。天の鳩、地の百合と薔薇。前者は神の恵み、後者は純潔を表すという。そして、左下端のトレドの町も静に佇んでいる。これは、サン・ビセンテ聖堂オバーリェ礼拝堂の祭壇画。


さて、はじめに戻って、1-1肖像画家エル・グレコ
”芸術家の自画像”が迎えてくれる。51歳のエル・グレコ。ギリシャのクレタ島の生まれ。よく自画像を描いていたらしい。
”日曜美術館”より。


そして、修道士や貴婦人の肖像がずらり。”白てんの毛皮をまとう貴婦人”が、ぼくのお気に入りとなる。おそらく、年末恒例のブログ記事、”今年の三美人”に抜擢されるのは間違いない(笑)。毛皮の細密描写もすばらしい。モデルは奥さん、(いないはずの)娘さん、王女説といろいろ。


修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像は、傑作との評判。


1-2 肖像画としての聖人像
聖ヒエロニムス、聖ペテロなど。聖パウロは本来十二使徒には入っていないが、ギリシャ生まれの聖人ということでえこひいきで描いたようだ。ここでもふたつのパウロの絵が。

1-3 見えるものと見えないもの
ここでは、聖アンナのいる聖家族が好き。


そして”悔悛するマグダラのマリア”。最近、米国の美術館を巡って、ラ・トゥールの絵などを観ているうち、この画題そのものが好きになってしまった(汗)。


II クレタからイタリア、そしてスペインへ
エル・グレコはクレタでビザンチン様式のイコン画を制作する職業画家として活躍を始めましたが、イタリアのヴェネツィアとローマに滞在し、線遠近法による空間構成を用いた、西欧のより自然主義的な表現方法を貪欲に吸収していきます。しかしトレドに移り住んでからは、細長くデフォルメされた人体や超自然的な光の表現を用いた独自の様式を追求しました。(ホームページより、以下同様)

ふたつの”受胎告知”。この画題も好き。


III トレドでの宗教画:説話と祈り
エル・グレコの全制作の中でも最も大きな割合を占めるのは、個人が祈りを捧げるための祈念画でした。本章ではその作例を紹介します。祈念画は、神の加護やとりなしを願ったり、良きキリスト教徒としての道徳を示したりするためのものであり、観る者の感情や感覚に強く訴える性格を強調して表されます。

”聖衣剥奪”(このようにトレド大聖堂の聖具室を飾るエル・グレコの最高傑作)。展示作は後年、それに倣って制作された一点である。


VI 近代芸術家エルグレコの祭壇画:画家、建築家として
エル・グレコはトレドやその周辺の教会・修道院のために、数多くの祭壇画を制作しています。また、それのみならず、祭壇画を取り付ける衝立も自ら設計し、絵画、彫刻、建築が一体となった総合芸術を目指しました。本章では、祭壇画として制作された作品群を中心にご紹介します。

ここで、はじめに紹介した、”無原罪のお宿り”がどどどーんと。これを観るだけでもグー。素晴らしい展覧会でした。


このあと、夕方はサントリーホールで高校の同級生がメンバーに入っている演奏会。小林研一郎指揮、小林亜矢乃ピアノで盛り上がる。ベートーベンとベルリオーズ。エル・グレコのような渦巻くような(?)演奏。そのあとは、新橋に出て臨時クラス会。皆、うずまくような飲みっぷり(汗)。



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