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気ままに

大船での気ままな生活日誌

気ままな読書散歩 モンゴル紀行から蒼き狼、額田女王へ

2020-10-09 08:37:38 | Weblog

おはようございます。

ようやく涼しくなってきましたが(ここ数日は寒いほどですが)、猛暑中はなかなか歩き回ることが出来ず、図書館やカフェで読書することが多かった。ぼくの散歩の流儀と同様、読書も気の向くまま、”気まま”という流儀(笑)。

石坂浩二がナレーター時代のシルクロード(NHK特集)を見ていたら、たまたま司馬遼太郎が出演していた。そして、ふと手に取ったのが司馬の”街道をゆくシリーズ”のモンゴル紀行。1974年版だから、今とは違うと思うが、モンゴルのいろいろなことが分かって面白かった。

たとえば、この国の憲法に偉大な条文があると司馬はいう。”極端な愛国主義と盲目的な民族主義を排する”という条文である。憲法で愛国主義の制限を明文化しているのはモンゴル人民共和国だけであるという。わざわざこれを入れているのは、隣国の中国やソ連にモンゴル同胞がいるが、汎モンゴル運動という盲目的な民族運動をおこせば、大国を不安におとしいれ、場合によってはモンゴル国の存亡に関わるからだそうだ。現在、中国の内モンゴル自治国で”母国語騒動”が起きているが、たぶん、同胞に手を差し伸べることはないだろう。

また、モンゴルの歴史的英雄といえばジンギス汗だが、1962年にジンギス汗生誕800年記念行事を大々的にやったところ、モスクワの逆鱗に触れた。ソ連にとっては、領土を侵された大悪漢なのだ。それ以来、国家をあげてジンギス汗を批判するようになったそうだ。大国に気をつかいながらの国家運営なのである。

そして、次に手にとった本は井上靖の”蒼き狼”。若いとき読んで、こんなに面白い小説はないと思った。ジンギスカンの一代記なのだが、年をとってからも、やはり面白い(笑)。とくに、遊牧民の一部族の首長だった父が亡くなり、離れていく家来たちに置いてきぼりにされた家族を支える少年テムジンが成長してゆく過程がとくに面白い。一家族から出発し、次第に仲間を増やし、ついにはモンゴルを統一し、さらに後半生、ヨーロッパまで攻め入り、世界の半分を判図に納めた。自身が父の実子ではなく敵部族の子かもしれないという不安を抱えながら、いや自分はまさしく正統のモンゴルの血を引いている男だ、そのためにはモンゴルの伝説、”蒼き狼”にならねばならぬと、必死に生き、生涯、攻め続ける波乱万丈の物語。

そして、読書散歩は、井上靖シリーズへ(笑)。本人の自伝的小説、”あすなろ物語”、”わが母の記”と読み進み、”額田女王”に。中大兄皇子(天智天皇)と大海人皇子(天武天皇)の兄弟に愛された(万葉随一の才媛で“紫草のにほへる妹”とうたわれた)額田女王。大化の改新から白村江の戦いなどを経て壬申の乱までの古代日本史が額田女王の和歌と共に描かれる。これも、昨日、読み終えて、歴史散歩道も一休み。さて、次はどんな風景の読書の散歩道になるか。

蒼き狼 (新潮文庫)

それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!

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