国立新美術館で開催されているルーブル美術館展を観に行った。平日(3月19日)だったのに、かなり混んでいて、さすがルーブル展だと思った。とくに、フェルメールの天文学者とティツィアーノの美女の前には大勢の人が群がっていた。
ぼくもこの二作品が今回のお目当。会場内を行きつ、戻りつ、3回はみている。だから感想文も、まず、これらから始めますか。フェルメールの天文学者。初来日だというが、3年ほど前にもルーブル美術館で観ているので、もう、何度目かの対面となる。初対面のときのような感動はないが、会えばうれしい旧友みたいなもの。4年ほど前、ブンカムラにきた地理学者と雰囲気がよく似ている。二作品とも、モデルは、微生物を初めて自作の顕微鏡で観察したレーウェンフックではないかという説がある。彼はフェルメールの遺産管財人にもなっている。科学界と美術界における巨人が、オランダの小さな町に、同じ時代に住んでいた奇跡に驚く。そんなことを想いながら、天文学者を観る。
写真は額付きのにした(芸術新潮2008.9)。展覧会の額と違うような気がするのだが。
そして、天文学者と共に、ポスターの写真に採用されている、ティツィアーノの美女”鏡の前の女”。ルーブルに行ったときは、モナリザをはじめ、コロー、アングルなど、ルーブルの美女軍団の中で、目立たなかったが、さすが、ここではピカイチの美女。ぼくの”今年の展覧会美女ベストテン”のベストスリー入りは間違いないのでは!うしろの鏡で後頭部を写している。当時は絵画は彫刻より低くみられていたので、絵画でも立体的表現ができることを示した、という説明があり、面白かった。
途中だが、この展覧会の章立てを示しておく。本展の副題が”日常を描く/風俗画にみるヨーロッパ画の真髄”とあるように、以下のようなくくりの風俗画の展示になっている。因みに”天文学者”は第2章、”鏡の前の女”は第5章に属している。
プロローグ(1)すでに古代において/風俗画の起源
プロローグ(2)絵画のジャンル
第1章 「労働と日々」—商人、働く人々、農民
第2章 日常生活の寓意—風俗描写を超えて
第3章 雅なる情景—日常生活における恋愛遊戯
第4章 日常生活における自然—田園的・牧歌的風景と風俗的情景
第5章 室内の女性
第6章 アトリエの芸術家
もう少し、お気に入りの絵画を続けたいと思う。第5章の中に、もう一人の美女がいる。フランソワ・プーシェの”オダリスク”である。ちょっとエロい絵だが、13歳下の妻がモデルだそうだから。許されるだろう(爆)。この絵は、横浜中華街のトリックアート・ミュージアムでも使われているので、ちょっと紹介しておく。
トリック・アート・ミュージアムのオダリスク。観る場所によって体が長くなったり、短くなったりする。足は額縁から出ている(爆)。
第1章の、 ムリーリョの”物乞いの少年(蚤をとる少年)”も、ルーブルでも観たのを覚えている。ムリーリョの代表作といえば、無原罪のお宿りや聖母子などだが、これも印象に残る作品。足の裏がまっ黒になっているなど細かい描写。
さて、あとはちらしの載っている絵画をいくつか。
プロローグから。 リュバン・ポージャン ”チェス盤のある静物”
第2章から。レンブラントの”聖家族”または”指物師の家族” レンブラントらしい光と影。
第2章から ジャン・バティスト・グルーズ ”割れた水瓶”
第4章から カラッチ”狩り”
ジャン・アントワーヌ・ヴァトー ”二人の従姉妹”
都内のホテルに宿泊中。今日は新宿御苑でも。